8時起き。
自転車でかもめ座へ。
9時少し前に到着。
斉藤君と山口君が荷おろしをしていた。
劇場に入ると起きたばかりの天谷君がいた。
楽屋で荷物整理をし、台詞会わせ。
荷おろしは一瞬で終わったので、そのまま場当たりに入る。
暗転の小道具転換が結構ある。
天谷君の方が大変そうだった。
場当たり後、楽屋で台詞合わせ。
繰り返し読み合わせ、弱いところをつぶしていく。
本番中に弁当を食べるので、昼飯は食べなかった。
2時半に公開ゲネの客入れ開始。
お客さんのリストをみたところ、公開ゲネも本番もほとんどが自分のお客さんだった。
3時、芝居開始。
天谷君、いきなり台詞を飛ばす。
また、天谷君を呼び止める台詞が遅れ、彼がいったんはけてしまうハプニングがあった。
その他、小道具が机に残ったままなどのミスがあった。
自分のやる役はリストラされたサラリーマン。
企画会議でHome という単語を「ホメ」と呼んでしまったと、設定にはある。
だがサラリーマンになれる人間でHomeが読めない人間はいないだろう。
だから、
(こんな重要な書類に書いてある単語なのだから、ホームなんていう簡単な読み方のはずはない、なにか他の言語か、あるいは読み方が違うか・・・じゃあなんて読むんだ? ・・ホメ?)
こんな感じで読んでしまったに違いないと思うことにした。
リストラの原因も、ただの人員整理だろう。
「あいつはHomeも読めないのか! よしリストラだ!」
そこまで単純じゃない。
彼は、自分のどこがいけなくてリストラされたのだろうと考える。
思い当たるのは、企画会議で恥をかいた「ホメ事件」
その他には考えられない。
というより、それが原因であった方が、彼にはありがたい。
英語を勉強すればなんとかなると思えるからだ。
つまりHomeをホメと読んで首になったのではなく、そう思いこんでいるだけなのだ。
英語を勉強して会社に復帰すると、彼はうそぶいている。
これも、ないだろう。
会社がそんな甘いはずがない。
リストラのショックが、ホメのトラウマと結びついた彼は、手応えを感じるまで英語を勉強しなくては、職探しもままならない。
恥と結びついている故に、英語に接することそのものが苦痛だ。
英語を勉強したいんじゃない。
トラウマを克服したい。
そうしなければ一歩も前に進めない。
・・・と、こんな風に役を解釈した。
舞台に立つと体はひとりでに動くものだ。
台詞をしゃべればしゃべるほど、自由になっていく感覚がある。
ライブはいいなあと思う。
大きなトラブルはなく無事終了。
観に来てくれたお客さんに挨拶する。
楽屋にて、天谷君と上演時間について話す。
1時間を切っていたようだ。
正確なところはわからないが、50分強だったのではないか。
稽古初日から、
(1時間を切った芝居にするべきだ)
と密かに思っていたので、良かったと思う。
聞き取れないほどの早口とか、相手のセリフを聞かずにスピードアップしているわけではなかったので、してやったりの心境だ。
朝からセリフの読み合わせに集中していたので、ゲネが終わると疲労を感じた。
小道具の用意を済ませ、楽屋の椅子で惚ける。
惚けていると、なんだか体が熱っぽく、インフルエンザにでも罹ったのだろうかと心配になる。
本番は6時開演。
ところが、お客さんはまったく来ず。
俺の呼んだお客さんと、関係者数名といった状況。
これだけ少ないお客さんの前で演るのは久しぶりだが、燃えるシチュエーションでもある。
ゲネよりも落ち着いた芝居が出来た。
天谷君も随分リラックスしていた。
あと5ステージくらいやれば、いい公演になるだろうなあと思ったが、本日は仕込みとゲネと初日と楽日を兼ねている。
芝居はどれも泡沫だが、今日のようなのは初めてだ。
終演後、楽屋片付け。
着替えてから劇場の掃除を手伝うと、バラシは終了した。
2時間もかからずに終わった。
打ち上げは新宿だという。
阿佐ヶ谷でやるのだと思っていたので、荷物を持っていったん家に帰ることにする。
帰宅し、荷物を整理してから、自転車で荻窪へ。
9時過ぎに新宿。
打ち上げの店に行くと、すでにみんな揃っていた。
乾杯をしたかったのだが、ビールがなかなか来ず、先に来ていた料理ばかり食べていた。
20分くらいしてようやくビール到着。
プロレスの話や、酒の肴についての話をする。
半袖を着ていたので、店の空調がえらく寒かった。
山口君、斉藤君、天谷君、そして俺の4人のみ残り、久しぶりに朝まで飲む。