『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』見る

明け方5時に起きた。トーストを2枚食べた。

次に、10時過ぎに起きた。外はいい天気だった。植木の水やりをした。プランターの空心菜が芽吹いていた。

そうめんを多めに茹でて食べた。

10時50分過ぎ、走りに行く。青梅街道に出て、ひたすら西へ走る。

最初の4キロはすぐに心臓が苦しくなってしまい、走っては止まるを繰り返した。心臓のウォーミングアップをしているような感じだった。荻窪を過ぎたあたりで落ち着いてきた。

西武新宿線のガードをくぐり、その先を左に曲がり、新青梅街道を西へ。さらに進んで田無タワーを過ぎてからは、ずいぶん長いこと走っていないコースとなる。走るのはたぶん、荻窪に住んでいた時以来かもしれない。

小金井街道、新小金井街道を渡り、小平霊園沿いを走り、霊園の西側から左に折れる。西武線のガードをくぐり、住宅地を進み、萩山に出た。昔やっていたバイク便の事務所があるところだった。

事務所の入っていた建物はまだあった。すぐ近くにあったそば屋もまたあった。バイクを止めていた遊歩道は、昔は砂利道で、専用駐輪スペースみたいになっていたが、今は舗装されており、バイクは一台も止まっていなかった。

記憶を辿りながら、駐輪スペースにしていたところから小平方面に向かった。昔は、遊歩道沿いを進んで東京街道に出て帰宅していたが、今は遊歩道沿いをバイクで進むのは無理そうだった。

遊歩道沿いを東へ走り、小平駅南口に出た。昔は、ルネ小平の南側にスーパーがあり、わりと遅くまでやっていたので、仕事のあと、よくそこで買い物をしたものだった。しかし、そのスーパーがどこにあったのか、記憶が定かじゃなかった。道の北側だったと思うのだが、そちらにはもうスーパーはなかった。

あかしや通りに出て南に走る。途中、ファミリーマートで飲み物を買った。走行距離はちょうど20キロになっていた。

アクエリアスを飲み、走りを再開する。あかしや通りを南に走り、青梅街道、五日市街道を横断し、国分寺の本多5丁目の交番を左折し、連雀通りを東へ走る。学芸大学正門前を通り過ぎてから、そのまま連雀通りを走り、JRの陸橋をくぐってから、陸橋を背にしたまままっすぐ進んで、急坂を下り、貫井神社に出た。きれいになっていた。

野川沿いの遊歩道を東へ走り、新小金井街道を渡って右に曲がり、前住んでいた部屋の前を通った。数年前取り壊され空き地になっていたが、今も空き地のままだった。

薬師通りを東へ走り、小金井街道の陸橋をくぐってから、はけの道に出る。しばらく東に進んで、白伝坊の坂を上り、小学校の前を通って農工大通りまで出る。農工大通りを東へ走り、栗山公園で塩だらけになった顔を洗い、東小金井駅に向かった。駅が近くなったところで、走行距離が27.5キロほどだったので、住宅地をぐるっと回ってから駅に向かい、走行距離が28キロになった時点でゴールとした。

『宝華』で、宝そば中盛とライスを食べた。そばを食べ終わった時に残った汁をライスで埋めてよく混ぜ、そのライスをレンゲですくって食べた。滅法うまかったが、炭水化物と油脂の究極合体なので、毎日食べていたらたちどころに太るだろう。

JRと丸ノ内線で3時半帰宅。シャワーを浴び、フォームローラーで両足の筋膜リリースをした。痛気持ちよかった。

5時半、家を出る。日本橋へ。

銀座線三越前で降り、TOHOシネマズ新宿へ。6時45分、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』見る。

大学生の小西は、大学生活をわちゃわちゃ満喫している多数派男女たちとはなじめずにいる。友人は、変な方言で話す山根のみ。二人は、わちゃわちゃ軍団がいる地上人工芝ゾーンではなく、誰もいない屋上自然林で寝っ転がったり、昼飯のカップ麺を食べたりしている。

この山根くんがよかった。序盤はその特徴的な喋り方に少し忌避感を覚えたのだが、話が進んでいくうちに、彼が出てくるとホッとするようになった。

小西は銭湯で掃除のバイトをしており、同じ大学の音楽サークルにいるさっちゃんという女の子も一緒に働いている。さっちゃんは明るくてとてもかわいい。二人は仕事をしながら他愛のない雑談をする関係。

親友がいて、バイト先では軽口叩ける女の子の同僚がいて、何が不満なんだ貴様! と、日本陸軍下士官的なことを思いはしたが、彼は、大学生活はつまらないなあという思いを抱いて日々を過ごしている。

そんなある日、お団子頭の女子を教室で見つける。彼女は講義が終わると真っ先に出ていき、学食では一人でざるそばを食べている。

その大学は、講義の途中で出席表を他人に預け、提出をお願いして勝手に出て行ける、自由な校風らしい。羨ましい。お団子頭の女子が気になった小西は、出席表提出を彼女にお願いし、教室を出て行くという大胆な行動に出る。その時、机にあった彼女の出席表もちゃっかりチラ見し、名前を覚える。彼女の名前は桜田さん。

以降、偶然の重なりで、小西は桜田さんと友達になり、序盤は多幸感溢れる展開で進む。安易に恋愛関係へと持っていかない脚本が大変よかった。

後半は、さっちゃんのシーンから一変し、まさかの展開となり、真摯なラストとなる。

さっちゃんを演じる伊東蒼の長いシーンがよかった。たぶん、見た人はその場面をベストシーンだと言うだろう。切なさに涙が出た。

山根を演じる黒崎煌代も良かった。序盤の忌避感は途中で安心感に変わり、後半、疑心暗鬼に駆られる小西を気づかう場面や、そのあと出ていく時の芝居、しばらく経って小西と再会する時の芝居など、すごく好感を持った。いい友達だ。

河合優実は、前半の多幸感ターンの終わり頃、安斎肇の喫茶店でポツリと「おいしいね」とつぶやく芝居が、個人的にベストだった。また、小西が話している時、その内容によって聞く力を変化させているところがすごいと思った。他愛のない話は流すように聞き、おばあちゃんのことを語る時は、いちセンテンスごとに丁寧に受け止め、ごく小さく頷きながら聞いていた。その場面、河合優実にはピントが合っていないのでぼやけていたが、小さい頷きがうなじ越しに見えた。そういう受け方をしてくれる俳優さんだと、相手役の芝居も良くなる。

しかし、河合優実はどうしてそういう芝居ができるのだろう。『あんぱん』で、豪ちゃんに告白された時、一瞬眉間に皺を寄せていたのだが、ああいう芝居は、台本を読み込んだからできるというものではない。ト書きに書いてあったとしたら、むしろ、疑問に思う俳優さんの方が多いだろう。

眉間に皺を寄せる芝居は、河合優実にもわかっていなかったはずだ。蘭子の心理をなぞり、蘭子でいることだけに集中し、蘭子が感じたり考えたりした時、肉体は、心の動きをひたすら反射するものとして、意識のコントロール下から断ち切ったリラックス状態に置いていたために、できた演技だろう。出征する直前にプロポーズされ、嬉しさと同時にもやっとした気持ちが沸き起こり、その反射として、自然に眉間の皺が表れたと、後付けでなら分析できる。でも、それを事前の演技プランで作ってしまうと、たちどころにダメな芝居になる。その瞬間、その気持ちになるまで、体がどんな反射を見せるのかわからないというスリリングな芝居であるから、見ている者を釘付けにするのではないか。

河合優実の魅力が、その演技スタイルにあるとするなら、その魅力が輝くのは、やはり、若いうちであると思う。年をとるということは、心理に対して自分の体がどんな反応をしていくのか、わかっていくということであるからだ。

逆にいえば、わかることを積み重ね、三十代半ばくらいになった彼女の芝居がどういうものになるのか、まったく想像もつかないから、これもワクワクする。

大九明子監督の演出はテンポがよく、それでいて、さっちゃんの長回しや、後半の桜田さんのどアップなど、ここぞというところはこってりと撮っており、そのメリハリが見ていて快さを感じるバランスになっていて、素晴らしかった。

帰りは雨だった。

いなげやで赤ワインと、割引惣菜のジャーマンポテトとフライドチキンを買って、10時帰宅。

お惣菜をつまみに、赤ワインを氷で割って飲んだ。

12時就寝。