ナンシー関急死

 暑さのためまんじりともせずに過ごし、夜が明けた。
 塩をかけられたナメクジみたいな気分で起きると、1歳と3歳の甥っ子は朝から絶好調だ。
 今度「永遠の仔」でも読んで聞かせてやろうか。

 朝は猛烈に蒸し暑かったのに、正午になる頃にはクーラーが効いている部屋よりも外の方が寒かった。
 寒冷前線が通過したのだろう。
 梅雨寒というやつだ。
 迂闊だった。

 夕方、鍋横で稽古。
 この稽古場は畳敷きで落ち着く。
 昨日に続いて1場の稽古。
 それから阿部さん稽古。

 「光陰」は、姉にコンプレックスを抱いている妹が出てくる。
 「コンプレックスを抱いている」と書くと、なんだか人ごとみたいだ。
 当事者にとっては「コンプレックス」という言葉だけですむ問題ではないはずだ。
 挫折感やそれに伴う憎悪があるかもしれない。
 そして自分の中にあるネガティブな感情を処理しきないまま大人になっているかもしれない。
 ネガティブの種はどこにまかれるのか?
 友人知人か?
 自分の子供か?
 
 ナンシー関が急死した。
 心不全だという。
 驚いたけど、なぜか「やっぱりな」と思った。
 ここ最近のコラムは論点もテンションも冴えなかったのだ。
 まるで、消耗し尽くして死んでしまったようだ。
 訃報を伝える記事には「辛口コラムで知られる」とあったが、ただの「辛口コラム」ではなかったと思う。
 テレビによって見立てられた「何か」を分析することで、現代を解読していたのではないか。

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