「夏の子プロ」に出演していた三代川が、学園祭期間中に大学の演劇研究室で芝居に出るという。
「何をやるんだよ」
「ええ、オイディプス王をやるんですよ」
「お前それ、ギリシャ悲劇じゃないか。できるのか?」
「ええ、まあ、頑張ってるんですけど」
「それで、何の役をやるの?」
「ええ、オイディプス王を」
「マジか? お前がか?」
「ええ、はい」
「こりゃ傑作だ」
「どういう意味ですか」
そういう事情で、母校の学園祭に顔を出した。
松本健も見たがっていたので携帯に電話をしてみたが、青息吐息だったのでそっとしておくことにした。彼にはこれから地獄が待っているのだ。
芝居が始まり、声をがらがらに嗄らした三代川が登場。最初はどうなることかとひやひやしたが、危なげのない芝居で無事1時間半を乗りきった。
まあ、研究室の芝居でハプニングがあってはまずいだろう。さすがに。
終演後、望月に会う。一緒に草むらに座ってビールを飲みながら、来年7月の公演の話をする。
夕方5時に大学を出て、中野に向かう。何と今日はカタギノマタギの稽古初日なのだ。
しかし、稽古初日なのに俺はビールを飲んでしまった。今気がついた。
弥生町の稽古場で、役者の顔合わせ。5人しか来てなかったけど。
主宰の松本健、横岳、山口恵さん、劇団ジェリービーンズ主宰の平光君、そして俺。
学際に顔を出したせいか、無性に体を動かしたくなり、一人でマラソンなどをしていたら、松本に「何してんの。今日は走らなくてもいいのに」と言われた。
そんな言いぐさってないぜ、ボス。
簡単な本読みをして稽古兼顔合わせは終了。その後中野坂上の居酒屋で飲む。
その居酒屋は俺が以前働いていた店の支店だったのだが、なんと知り合いのM君が店長になっていてびっくりした。
M君は結婚したそうだ。最近結婚が流行ってるのだろうか?
山口さんとは初対面だったので、探りを入れる意味で色々話す。真面目な娘といった感じ。
帰りの電車で平光君と一緒になる。松本健の秘密を洗いざらい暴露。