仕事を全て片付けてしまったのに、勤務時間が2時間ほど残っていた。
おおっぴらにサボるわけにはいかないし、かといってすることもなく、いつもの倍疲れた。
稽古場に着いたのが5時40分過ぎで、5時50分からマラソンを始めた。
西新宿から方南通りを使って、西永福まで走った。
稽古場に戻ったのは7時5分だったから、1時間15分も走りつづけたことになる。
そろそろ、控えようと思う。
マラソンの後、血糖値を上げるためにおにぎりを食っていたら、東さんがキムチをくれた。
「あのさあ、一般人て、キムチ食うの?」
と、東さん。
「梁山泊では何かあるとすぐキムチだったからね。あと、韓国行った時も、喫茶店でコーヒー頼んだら、一緒にキムチがついてきたからね。空港降りたら、まずキムチの匂いしたからね」
日本でいえば、キムチは何にあたるのだろう?
稽古後、青梅街道を歩いていると、後ろから自転車に乗った鈴木めぐみさんがやってきた。
「お疲れ様です。おうち、この辺なんですか?」
めぐみさんは何も答えない。
「お仕事はどちらなんですか?」
「代々木」
「それで、おうちは?」
「絶対言えないのよおー」
のたくりながらそう叫ぶなり、高層ビルのジャングルへと消えていった。