新左近川でハゼを釣って食べる

4時前に起きた。日の出の時間が4時44分だったので、それまでに釣り場に着いていたかった。満潮時刻はそれより前で、どのくらい潮が引いているかわからなかったが、先々週様子を見に行った時よりは釣り易いんじゃないかと思った。根拠はない。とにかく実際に行ってみることが重要だった。

4時半に家を出る。外は明るくなっていたが、雲が多かった。100円ローソンに寄って麦茶を買った。釣った魚を入れるバケツは買わなかった。釣れるかどうかなんてわからない。

釣り場に着いた頃、日が昇り始めていた。橋のそばに自転車を止め、仕掛けを結んだ。ルアーではない仕掛けを結ぶのは何年ぶりだろう。
餌はパワーイソメをつけた。疑似餌で、なぜかブルーベリーの匂いがする。見た目は良く出来ているが、そんなもので本当に釣れるのか、ちょっと不安になった。

マリーナ近くで釣りを始めた。潮は満ちていた。目の前に仕掛けを放り、竿を動かして底を探った。中川に向かって少しずつ移動しながら続けたが、あたりはまったくなかった。
岸がゴロタ石の、デイキャンプ場近くへ移動し、同じようにしてみた。結果は同じだった。魚が餌に食いついた時のブルっとした感じを一度も味わわなかった。

6時まで粘り、これは無理と諦め、いったん家に帰った。自転車で5分とかからなかった。

朝飯を食べ、11時まで眠った。起きて、スイカと桃を昼食代わりに食べた。

北葛西にある釣具屋「キャスティング」まで歩いて行き、安物の小物釣り用ルアー竿セットと、釣り針、仕掛け、そして餌のアオイソメを買った。朝の釣りは疑似餌を使ったわけだが、やはり、匂いのする本物にはかなわないはず。夕方の満潮時にもう一度行ってみることにした。

4時過ぎに再び新左近川公演へ。自転車で、親水公園全体をぐるっとまわってみたが、釣りしているのは父と娘二人組だけだった。シーズンではないのか、それとも、近くにあった釣具の上州屋が閉店し、餌を買える店がなくなって、釣り人の数が減ったのだろうか。

ゴロタ石のところで釣りを始めた。朝と同じ仕掛けを作り、アオイソメを針に通した。
二、三回仕掛けを投げ入れた時、竿先に反応があった。同じボイントに投げ入れた。今度は、竿先がブルっと震えた時に小さく合わせてみた。すると、かかった。
釣り上げてみると、15センチほどのウロハゼがかかっていた。スマホで写真をとり、針を外した。
魚を入れるバケツやクーラーボックスを持ってきてなかったので、コンビニ袋に水を入れ、自転車の荷台を結ぶ紐で木の枝に吊るし、袋が川に浸るようにした。袋には穴が開いていたから、そうしておけば酸素不足で死ぬこともないと思った。即席の魚籠だ。

一匹釣れただけで、仕掛けを投げ入れるのがぐっと面白くなった。当たりは何度もあった。餌が食われ、段々小さくなっていった。すると当たりは来なくなる。餌を付け替えると再び竿先が震える。合わせる。しかしなかなかかからなかった。

ゴロタ石周りは石があちこちに沈んでいるようで、何回か根がかりした。5時を過ぎてから、根がかりしにくいマリーナの方へ移動してみた。しかし、朝と状況はあまり変わらなかった。ゴロタ石の時は、釣れなくてもあたりは頻繁にあったが、マリーナの方はほとんどなかった。
それでも、中川に向かって移動しながら続けていると、時々ぶるっという感触があった。しかし、あわせてもかからなかった。

何度目かの時、当たりが来たので合わせたが、竿が引かれる感じが全くしなかったので、そのまま引き上げすると、小さいハゼがかかっていた。どうやら、小さくて、引いているのがわからなかったらしい。10センチ以下のマハゼだった。いいサイズのはやはりゴロタ石のところにいるのだろうか。しかし、また元のポイントに戻るのは億劫だった。満潮ももうすぐだった。

結局そのまま、根がかりしにくいゾーンで釣りを続けた。小さいマハゼを一匹釣った。当たりがあったことさえわからなかった。スマホを見ると、6時20分だった。満潮時刻は6時ちょっと前だったので、もう上げ潮は終わっていた。餌のアオイソメも使いきった。引き上げる頃合いだった。

6時半帰宅。釣ったハゼを食べるため、ボウルに移し、塩でまぶしてウロコを取った。まな板に並べ、腹のところをつなげたまま頭を切り、そのまま引っ張って内蔵を出した。よく洗って、水気を拭き取り、小麦粉をまぶし、唐揚げを作った。

その後、夕食のために買ってあったうなぎを、ガッテン風に温めうな丼にして食べた。

シャワーを浴びてから、ビールを飲み、ハゼの唐揚げを食べてみた。
美味かった。臭みは全く無く、塩で軽くもんだ程度なのに、味付けは抜群だった。ただ、一番大きいウロハゼは、大きすぎて、唐揚げより、きちんとおろして天ぷらにした方が良かったかもしれない。

家に帰って、ハゼをボウルに移した時、三匹とも生きていた。包丁を入れる前、ためらいがあった。かわいそうだと思った。でも、この手でさばいてしまうと、食べなければという気持ちが強くなった。
自分で釣った魚を食べたことはあるが、さばいたことはない。もし小学生の時に、自分で釣って、さばいて、料理して、食べる、という経験ができていたら、いまよりもマシな人間になれたんじゃないかと思った。そこには、何かがつながっているという感覚がある。

9時過ぎ就寝。