昨日は三時半に寝た。しかしあまり成果はあがらなかった。
夕方、稽古場にてしのちゃんが疲れた顔で言った。
「来年はもう少し抑えようと思って」
芝居の出演本数のことだ。何しろ今年に入ってからの彼女は、2,4,5,6,8月、今回の10月、そしてもしかしたら12月と、パチンコで言えば昔の「花満開」のように連チャンしまくっていたのだ。
加えて映画に出たり外国に行ったり、休む暇もない感じだ。
その、しのちゃんが演じるショーコと、丸ちゃんが演じる轟木のシーンを稽古した。
台本を渡す前に即興稽古をしようと思い、横岳を交えて色々やってみた。
しかし設定が複雑なので、みんな戸惑っていたようだ。
俺まで戸惑ってしまった。
見ているほかの役者達も戸惑っていた。
高井戸の稽古場は瞬間的に戸惑い地獄と化した。
やはりもっとわかりやすくしないといけないなあと、戸惑ったまま実家に帰る。
父がBSで「民族の祭典」を見ていた。
「どうしたんだ? なぜ戸惑っているんだ?」
「いや、色々あってね」
そのまま「民族の祭典」を観た。
これはベルリンオリンピックの記録映画だ。1938年制作だから、第二次大戦の1年前ということになる。
これが面白かった。当時としては信じられない撮影技術を駆使してあり、選手達の肉体が美しく美しく撮られていた。
ワールドカップはナショナリズムのはけ口だと誰かが言ってたが、この映画を見るとオリンピックもそうであったと確信する。
要は、「国!国!国!」と叫ぶテンションが高いということだ。
奇しくも開催国のドイツは、あのヒトラーが仕切るナチス。いわば、ナショナリズムの伝説のチャンピオン。
一年後ポーランドに侵攻して、武力によるオリンピックを始めてしまったわけだ。
しかしなぜ俺はオリンピックにこだわっているのだろう?
もしかして、心の底ではすごく見たいのだろうか?
それならまだいい。「すごく出たい」よりマシだ。
明日は衣装の森さんと会う予定。