友人の結婚式

 昨日はアップすると言っておきながら、しなかった。
 実は今日、友人の清水が結婚するので、そのための準備や感想などを書こうと思っていたのだが、そういう事は今日に回せばいいのだと気づき、大胆に約束を破ることにしたのだ。

 朝10時に起き、私用で中野へ。
 中野に行くと俺は必ず「大勝軒」のつけそばを食う。
 しかし今日はこれから結婚式だ。結婚式に出る料理や、その後友人たちと飲むであろうことなど考えると、食ってる場合ではないと思った。
 でも食った。しかも大盛りを食った。

 結婚式は246寄りの表参道でやるというので、原宿までJRで行ったのだが、駅から青山通りまでは思ったよりも時間がかかり、式に遅刻してしまった。
 係りの人に誘導してもらい、中に入ると式の真っ最中だった。
 友人達の顔がちらほら。皆、俺の顔を見て笑っている。
 どうも花嫁が入場した直後に俺が入ってきてしまったらしい。まるで花嫁を奪おうとするかのように。

 式が終わり、友人達と美しく語らう。やはり俺の遅刻は「闖入者」然としていたようだ。
 その後の披露宴は、随分くだけた感じのもので、仲人はいなかった。
 清水はコチコチに緊張しており、声が裏返っていた。

 新婦の友美さんは清水ともども、今年の3月になぜかうちに来たことがある。
 俺はなぜかすき焼きを作り、清水は「あんきも」の缶詰を持ってきた。
 なぜ「あんきも」かというと、それより前に清水と話した時、俺が
 「コンビニにさ、おつまみ用の缶詰ってあるだろ? あの『あんきも』が好きなんだけど、量が少なくてね」
 と言ったことを覚えてくれていたのだ。
 彼が持ってきてくれた「あんきも」は、500グラムほどもある缶詰だった。
 何だか芥川竜之介の「芋粥」のような話だ。
 しかしその「あんきも」の缶詰は、おつまみ用ではなく、素材用であり、食塩水に漬かっているだけのものだったのである。
 ぽん酢などで色々味付けしながら、悪戦苦闘したのを覚えている。

 披露宴で俺の座っているテーブルを給仕してくれた女性がひどく美人だった。かなり痩せ型で、モデル体型といった感じの人。
 名札で名前をチェック。佐々木さんというらしい。
 いやいや、目の保養になりましたぜ。写真撮ればよかった。

 花嫁のお色直しで、清水は一人きりになった。こういう時、仲人がいないとビジュアル的に新郎は寂しい。清水は一人できょろきょろしながら恐る恐る料理をつまんだり、酌をしに来た人と話したり、山賊のように宴を楽しんでいる大学時代のアメフト仲間のテーブルを羨ましそうに見たりしていた。
 大学時代友人テーブルの意見としては、既婚者は色々なことにただ静かにうなずき、独身男は「俺もああいうことやらなきゃいけないんだろうか」と不安な目をうるませていた。
 俺は俺で佐々木さんを見て楽しんでいた。

 友美さんは青のドレスを着てきた。深い青色だが、決して紺ではない。水面下3メートルの色だった。
 新郎新婦が各テーブルを回り、記念撮影をしに来た。普通ならキャンドルサービスなのだが、写真撮影というところがカジュアルだ。
 しかし清水の目は、大学2年の時「社会教育学」の単位を落とした時と同じ目をしていた。
 友美さんの方が落ち着いているように見えた。
 隣に座っていた、結婚して4年たった飯川は「花嫁さんの方が立派」とつぶやいた。

 披露宴が終わり、大学時代のぐしゃぐしゃ仲間で渋谷に行き、ひそやかに飲む。
 清水は色々回るところがあり、10時過ぎにならないと合流できないのだという。
 こういう式になると、いつも縁の下の男として辣腕を振るう榊原は私服に着替え、タオルをねじりはちまきにしてリラックスした様子だった。
 85キロパパ岩沢は、「娘の門限は5時だ!」とわめいていた。

 しかし、10時までにはかなり時間があり、新宿に出てバッティングセンターなどに行き、時間をつぶす。盛り場に出ると小山は目をまん丸にし、情報収集にいそしむ。姿が見えないと思ったら、スロットを打ってきたという。そういうところは早い。
 入倉は細長い体で物思いにふけるように物思いにふけりながら物思いにふけっていた。結婚のことでも考えていたのだろうか?
 いったん家に帰り、私服に着替えてやってきた菊池は、「飲んだり食べたりとかはないの?」と、腹を空かせた様子だった。

 9時過ぎに安楽亭に行く。しかし披露宴、渋谷での飲みと続き、さすがにあまりお腹には入らなかった。
 榊原が清水と連絡を取り、どこかの喫茶店で合流しようということになる。

 マイアミ(だったかな?)で新郎新婦と合流。責務から介抱された清水は水を得た魚のようだった。
 榊原はホスト役に徹し、友美さんにうまく話題を振るなど気を使っていた。
 「ぜひ新居に遊びに来てくれ」という言葉を残し、二人は帰っていった。新婚旅行はニューカレドニアだという。

 新宿駅にて我々も解散。
 それぞれが違うホームに向かうのを見て榊原が呟いた。
 「昔はさ、新宿あたりで飲んでも、みーんな帰る方向は小金井で、電車は中央線だったのに、今はばらばらだよ。埼京線ありの山手線ありの地下鉄ありの…」
 そういえば中央線で小金井に帰るのは俺一人だった。
 少しセンチメンタルな気分になったので、飲みなおそうかと考えたが、おとなしく帰る。

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