ベルイマン監督のひと言

 雨が降り、寒さが地道な努力をしているように感じる朝。
 地道な努力は何のためかというと、冬の到来を早めるために決まっている。
 どういうわけか傘がなく、近くのコンビニでビニール傘を500円出して買った。

 夕方7時過ぎ、劇場への搬入作業を手伝いに桟敷童子稽古場に出た。
 折悪しく雨足が強まり、カッパを着込んでの作業となった。
 こうなるとサウナスーツを着ているようなもんで、すぐに汗だくになってしまった。

 9時に搬入の諸作業を終え、10時に帰宅。
 おでんを作り、食う。

 夜11時を過ぎた頃、再び雨が強く振り出す。
 10月末の夜は大抵静か過ぎるほど静かなので、雨どいに雨滴が当たって聞こえる音は、うるさいどころかむしろ不思議な落ち着きを感じさせる。

 そういえば先週の新聞で、映画監督のベルイマンを訪ねるコラムが載っていた。
 82年に引退して以来、公の場にはほとんど顔を出さなかったベルイマンは、島でひっそりと暮らしているという。
 曰く、「自分で選んだ孤独は耐えられるものだ」
 思い当たる節があり、非常に納得した。

 コレステロールがそうであるように、孤独にも善玉と悪玉があるのだ。
 孤独だからいけない、ということはないのだ。
 人は意外と孤独に強いものだ。
 むしろ、他人から孤独だとみなされることに、恐れを抱くことの方が多いはず。

 先日読んだ筒井康隆の「敵」も、そのことを裏付けていると思う。
 この世から孤独をなくしてはいけない。