大勝軒つけそば特盛

 昼過ぎ、「ハコブネ」8ページほど書き足す。
 登場人物は大体出そろって来た。

 山ちゃんの役だけ、かなり内面を重視した役になるので、台詞での台本作りを進めてはいない。
 エチュードでキャラクターの重ね焼きをしている感じだ。
 「虻」で山ちゃんがやる役とは180度性格が違うので、慎重に作っていかないといけない。

 鍋横で稽古。
 稽古前に「大勝軒」新中野店に寄る。
 つけそばを食っていこうと思ったのだ。
 いつも大盛りを注文している。
 店に入り、メニューを見ると、大盛り100円の札の隣に、特盛り200円の札があった。
 「大盛りを食い終わっても、まだまだ入るように感じることがあるくらいだ。よし、気合いを入れて特盛りを頼んでしまえ」
 そう思い、店のおっちゃんに声をかけた。
 「つけそばの特盛り一つ」
 するとおっちゃんは一瞬体をビクンと震わせ、
 「は、はい。特盛りで…」
 と意味ありげにつぶやいた。
 5分後、ラーメンの丼に山と盛られた800グラムはあろうかと思われる大量の麺が出てきた。
 「これはいかん。見ただけで腹いっぱいになりそうだ。満腹中枢に信号が送られる前に胃袋に入れてしまわないと全部食えない」
 そう思い、息継ぎするのももどかしく一気呵成に食い始めた。
 4分の3ほど食った頃、胃袋の膨張が限界に達した。
 「いかん。これ以上入らん。しかし作戦はうまくいっている。なぜならまだ満腹感を感じていないからだ。だから体をゆらすなりして麺を片寄らせればまだ入るはずだ」
 椅子で身じろぎをし、食った麺を胃袋の下の方へ寄せると、確かにまだまだ入りそうだった。
 「よし。満腹感を感じる前に食ってしまわないと」
 残りの4分の1を平らげた頃、遅まきながら満腹感がやって来た。
 しかし、麺は無事に胃袋の中。
 食った食った。
 しかし、苦しい。死にそうだ。
 そのままの状態で稽古場に行き、畳敷きの部屋で横になりうなっていた。

 「ハコブネ」を中心に稽古。
 新しく加えたシーンを中心。

 11時に家に帰った頃には小腹が空いていた。
 麺は炭水化物だから、消化吸収が早いのだろうか。