バナナワニ園

 7時に起き、朝風呂につかった。一日経つと背中の日焼けがピリピリするのがわかった。
 多めの朝食をとり、少し横になってから宿を出る。
 外は暑く、海水浴日和だったが、昨日心ゆくまで泳いだので海に未練はなかった。
 背中越しに熱川ビーチに別れを告げ、車を出す。

 たどり着いたのは熱川バナナワニ園。
 温室では熱帯植物が育てられ、檻では数十種類ものワニが飼われている、バナナワニ園。
 必要な熱は温泉の熱を利用しているのだそうな。

 水の中に体を沈め目と鼻だけを水面に出し微動だにせぬワニばかりだった。
 折り重なっているワニたちもいた。
 爬虫類は何を考えているのかわからない。
 が、それだけに哲学的に見えることもある。
 何十匹のワニ夫たちすべてがじっとしてると、周りで嬌声をあげる客たちがひどく「俗」に見えてくる。

 熱帯植物園は予想通り暑かった。夏に来るところじゃないかもしれん。
 が、バナナの木を見ることが出来たのは嬉しかった。

 他にもこんな動物がいた。

えさを食うゾウガメ達は、闇雲なまでに真摯だった

 ゾウガメはでかい。300キロくらいあるらしい。
 えさの葉っぱをむしゃむしゃ食っていた。

 バナナワニ園の名称はたぶん、熱帯植物代表を「バナナ」に、熱帯爬虫類代表を「ワニ」に、とりあえずしておいたんだろう。
 わかりやすいからだ。

 昼過ぎに熱川を出て熱海へ。
 目指すところは秘宝館。

 春画や、動く蝋人形など、仕掛けものが中心だった。
 一番笑ったのは「浦島太郎」のエロ版実写映像だ。
 
 浜辺で全裸の女達が亀にまたがって悶えている。
 そこへ浦島太郎が通りかかる。
 「これこれ娘さん達。亀をいじめちゃいけないよ」
 すると女達は、
 「あたし達、まだ全然満足してないのォ」
 と腰を振りながら言う。
 やさしい太郎は、
 「どうしても亀をいじめると言うのなら、この私が」
 と言うなり着物を脱いですっぱだかになる。
 女達は、
 「キャー!」
 と喜び、しばらく太郎と女達の3Pが続く。(4Pだったかもしれん)
 満足した女達が去ると亀は太郎にお礼を言い竜宮城に案内する。
 竜宮城には乙姫さまと、タイやヒラメの女官達がいる。
 「亀を助けて頂いてありがとうございました」
 言うが早いか乙姫さまと女官達は全裸になり、
 「タイや、ヒラメの、舞い踊りよお」
 と3Pを始める。
 こうして太郎は竜宮城にいる間色んな体位でヤリまくるのだけど、さすがに体力が尽き果て、ついに総白髪のじいさんになってしまう。
 再び地上に戻るとそこでは数百年もの月日が流れ去っており親兄弟すべて死んでしまっていた。
 途方にくれた太郎は玉手箱を開けた。
 すると中から白い煙が出てきた。
 煙に包まれた太郎はなんと若い姿に戻り、前より精力絶倫になってしまった。
 太郎は再び亀にまたがり竜宮城に戻り、乙姫さまや女官達相手に3Pを始めるのだった。

 その他にもポルノ映画を延々とスクリーンで流すコーナーや、男根をかたどった木馬があった。100円で動くやつ。
 館内は写真撮影が出来ないので、巨根にまたがる我が勇姿を記録することが出来なかったのは残念。
 ポルノ映画コーナーには先客がいて、スクリーンをじっと見ていた。

 出口近くにはおみやげコーナーがあり、おっぱいキーホルダーなどが売っていた。
 有名人の色紙も沢山あり、1995年には松井秀喜も来たらしい。
 当時、ヒデキ21歳である。
 その8年後にニューヨークヤンキースでプレイすることになるとは誰が予想しただろう。

 秘宝館で気分的に満腹したので、熱海市内で遅めの昼飯を食う。
 あちこちの土産物屋は閑散としていて、夏の終わりを感じさせた。

 夜11時帰宅。さすがに疲れた。
 道が混んだり間違えて高速道路に入りそうになったりガソリンスタンドが見つからなくて焦ったりと、日常の細々したことが続いたので、日が沈んでからしばらく味わっていた夏の終わりの情緒は、夜にはどこかへ消えてしまった。
 夏の終わりの情緒は甘いが痛い。日常生活が情緒に浸食されることだってある。
 だから明日からのことを考えると、ほどほどがいい。
 いつまでも残しておくと秋がつらい。