イライラ

 朝10時に劇場入り。
 舞監の阪上君は病院の診察が長引いたので遅れるとのことだった。

 11時から場当たりを始めた。
 朝飯を食べずに始めたからだろうか、イライラして仕方なかった。
 自分にしては珍しい。
 役者に指図する言葉も、どこかトゲのあるものになっているのがわかった。
 具体的にいうと、
 「そこ、声をもっと大きくして」
 といつもなら言うところを、
 「全然聞こえてない」
 と言うみたいな感じ。
 こんな生ぬるいピリピリくらいならいっそ、
 「もっと声だせよ!」
 と怒鳴った方が全然ましだ。
 
 4時間以上かけて場当たりは終了した。
 7時半からのゲネにかけてあとは準備作業となる。
 
 ゲネには浅香が撮影に来た。
 それから見学者が3名ほど。
 王子の玉山さん、秋吉君、それからなんと大学時代の先輩である村上晴彦さん。
 
 ゲネの前半、いきなり台詞が止まるシーンがあったものの、大まかには失敗もなくおわった。
 これはいいことと言える。
 だが、主人公が幻想を見るシーンの動きがまだまだ良くない。
 これは明日に手直しをする必要があるだろう。
 
 ゲネ終了後、すぐに小屋を退去する。
 本番までに駄目出しすることは沢山あったが、役者に致命的な欠陥があるということはなかったので、もしも失敗要素があるとすればあとは自分の責任のみとなる。
 まだ緊張はしていない。した方がいいのか? 11時帰宅。