結局、ほとんど眠らずに朝を迎えた。
6時、朝飯にご飯、納豆、豚汁、蕪のよごし食べる。
食べ終わってから、仮眠をとるつもりでベッドに入った。すると現金なもので、すっと眠れた。
9時15分起き。すぐに作業支度をする。
9時半から作業。
昼飯に、青ばんマヨネーズを塗ってシャウエッセンをのせたトーストと、コーンスープ。
午後、久しぶりにチームミーティング。ここひと月にやってきた作業の説明をする。マイクで拾う自分の声が、想定していたよりも愚鈍な人間に聞こえた。力だけが取り柄のうすのろみたいな声だった。
11月初旬の連休前後、メンバーはそれぞれ休暇を取るらしい。自分もそうだ。よりによって台風が迫っているのが気になるが。
夜、ご飯、よごし、豆腐とわかめの味噌汁。届いた新米は、やはり美味い。
右袖部分の編み作業する。先週実家で編んだ時、余計な編み目を増やしていたのがわかったので、5段ほどほどいて編み直した。
「さよりっ子」「甘納豆」を交互に練習する。
『死の棘』読む。相馬から小岩に戻り、妻の様子はいよいよおかしくなる。夫は、いとこの妻が薬を処方されてだいぶ精神が安定したという話を聞き、妻を精神科に連れて行く。医者が下した診断は分裂症。M病院を勧められる。帰宅してから妻はさらに大荒れに荒れる。夫は、幼い息子がどんどん反抗的になっていくことを気にするが、ならないわけがない。
PCに入っている音楽ファイルの整理をする。
5大プログレバンドのアルバムは大体入っているのだが、キングクリムゾンの『太陽と戦慄』が入っていなかった。このアルバムはCDを持っているので、PCに取り込んだ。元の音が小さいので、サウンドエンジンを使って、レベルを調整した。
このCDを買ったのは、22歳の終わり頃だった。EL&Pの『タルカス』と一緒に、国分寺の中古CD店で買った。『タルカス』は、その後他のCDともども売ってしまったが、このCDはなぜかずっと手元に残っていた。
人間椅子が『太陽と戦慄』収録の Larks’ Tongues in Aspic, Part Two を演奏している動画を Youtube で見たことがある。めちゃくちゃかっこよかった。そして同時に、このアルバムの聴き方というか、キングクリムゾンといグループとの向き合い方を示唆されたように感じた。難しいことを考えず、プロゲレバンド中いちばんハードなギターサウンドを出すグループだと思えばいいのだ。そうすれば『クリムゾンキングの宮殿』も、ヘビーでかっこいいアルバムになる。
5大プログレバンドのうち、一番よく聞いたのはイエスだった。次がピンクフロイド。
『90125』に入っている「ロンリーハート」が、人生初イエス体験だが、好きになったきっかけはその曲ではなく、FM放送で聞いた South side of the sky だった。曲が進むとだんだん不安に包まれてくるのに、不思議と不快ではなく、これがあの「ロンリーハート」のイエスかと驚いた。それからしばらくして、South side of the sky が収録されたアルバム『こわれもの』を入手した。以降、20代前半は、ファーストアルバムから『Big Generator』までをあまねく聞いた。
イエスと並行してピンクフロイドを聞き、プログレというジャンルを意識するようになってからキングクリムゾンとEL&Pを聞いた。プログレ時代のジェネシスを意識して聞くようになったのはずいぶん後で、たぶん2000年代後半からだ。リアルタイム体験としてのジェネシスは、働き者のフィル・コリンズおじさんの全盛期と重なっており、プログレバンドのイメージは微塵もなかった。もっとも、当時はまだブログレが何たるかをまったく知らなかったが。
プログレ時代のジェネシスを初めて聞いたのは、2000年の暮れに放送した洋楽番組で見た、スタジオライブの映像だった。曲は「MUSICAL BOX」だったと思っていたのだが、のちに Youtube でそられしき映像を探しても見つからなかったので、違う曲だったかもしれない。テレビだから10分近い長尺ではなかったと思う。映像の最後にメンバーのストップモーションがあり、下に名前が表示されていた。
その映像の中で、ピーター・ゲイブリエルさんはフルートを吹いていた。その時はわからなかったが、のちに何かの本で、彼はプログレ界いちの美青年だったと読み、あらためてYoutube などで1972年前後の映像を見ると、サラサラ長髪の痩身で睫毛が長く、確かに美青年だった。そして、加入間もないドラマーだったフィル・コリンズの頭にも、豊かな毛髪が棚引いていた。
プログレ期のジェネシスは、映像と平行して聞くようになった。期間はごく短く、アルバム「トレスパス」の出た1970年から、「眩惑のブロードウェイ」の1975年までの5年間だ。一年ごとにゲイブリエルさんのコスチュームとメイクとヘアスタイルは派手になっていき、Sutter’s Ready のライブ映像では、花のかぶり物をして歌っている。『オレ達ひょうきん族』で明石家さんまが演じた『パーデンネン』にそっくりだ。
振り返ると、あまり聞かなかったのはEL&Pかもしれない。『タルカス』を買った時は、『太陽と戦慄』よりも頻繁に聞いていたのだが。キース・エマーソンのキーボードは、わかりやすい代わりに、スルメ感が乏しいのかもしれない。
ピンクフロイドは、プログレとは意識せず聞いていたが、とっかかりがつかめない状態が長く続いた。それでも、そこに何かがあるという感覚は拭えなかったので、聞くことはやめなかった。一番聞き込んだのは『THE WALL』だった。今では、一曲目「In The Fresh?」のイントロを聞くと鳥肌が立つ。この曲は、とてつもなく巨大なステージで、山が吠えるような大音量で聞くものだと思う。
ここ十数年ばかりを思い出すと、一番聞いていたのは、『THE WALL』だったと思う。町を歩く時のBGMとしてよく聞いた。できれば夜、大都会の真ん中がいい。すごくハマる。
そういえば、ピンクフロイドの超絶ベストセラー作品『The Dark Side Of The Moon』が、なぜ10年以上もチャートインし続けるような売れ方をしたのかというと、それを聞きながらマリファナをやるのが最高だからだという説を聞いたことがある。マリファナは、不勉強なことに、まだやったことはない。努力不足で恥ずかしい。しかし、ピンクフロイドのアルバムが『ながら聞き』に向いているという意味で、そうかもしれないなあと思った。
プログレに思いをはせながら、持っている音楽を色々聞いていると、あっという間に時刻は夜の2時半になってしまった。慌てて就寝。