仕込み初日の交通事故

 朝6時半にうちを出ようとすると、トラックを止めていた私道の入り口を、軽トラックがふさいでいた。
 アパートの他の住人が引っ越しのために止めたらしかったので、起こして移動してもらった。

 連雀通りを環八に向かって走る。
 三鷹を過ぎるあたりから道が混み始め、井の頭線の踏切を渡る頃には渋滞となっていた。
 環八に出る直前、左のミラーを電信柱でこすってしまった。
 「やばい」
 と思ったが、致命的な音はしなかったので確認は後回しにしてそのまま環八に入った。
 ところが、ミラーの角度が変わってしまっていた。
 そのことに気づいたのは青梅街道のアンダーパスが近づき、車線変更しようと思った時だった。
 アルミのコンテナトラックだから、ミラーがないと目視で左後方の状況を確認することはほぼ不可能なのだ。
 ぞっとした。

 結局、青梅街道を通り過ぎ、最初にあった右折車線で脇道に入り、そこでトラックを止めてミラーを直した。

 尾池さん宅の近くについてから電話で連絡をし、台車を使って機材をトラックに積み込む。
 20分ほどかけて積み込みを終え、トラックを発進させようとすると、手で直したミラーが自動的にたたまれてしまった。
 しかし運転席にはミラーを動かすスイッチがどこにもないのだ。
 仕方ないのでまた手でミラーを直し、王子小劇場に向かう。

 王子小劇場の裏手で松本さんと合流し、松本さんの工具などを積み込む。
 その後池袋に向かい、パンチカーペットを積む。
 この時点で9時40分を過ぎていた。

 10時を5分ほど過ぎて劇場に到着。
 しかし阪上君がまだ来ていなかった。
 舞監さん待ちという状況がしばらく続くが、トラックを返却する時間が迫っていたので、荷下ろしだけを先にはじめた。

 阪上君から山崎に連絡があった。
 なんと、劇場に来る途中で交通事故にあってしまったという。

 トラックを返し、11時に劇場に戻る。
 舞監不在のまま仕込みが始まった。
 パンチを敷いて平台を並べる作業が始まっていたので、それを手伝う。
 深津君、望月、山口君と、男手が極端に少ない状況だった。

 阪上君は3時過ぎに到着した。病院に行った後、事故の後処理のため警察に行ったという。
 大きな怪我はなさそうだったのでほっとする。

 本日中の場当たりは不可能だったので、夜の残り時間はすべて照明の作業となった。
 夜10時に終了。

 帰りに新宿のTSUTAYAで客入れ客出しのCDを借りた。
 以前録音しておいたMDは、久しぶりに稼働したCDプレイヤーの調子が悪いため、変なノイズが入ってしまうのだった。

 夜12時帰宅。
 さすがになにをする気も起きないほど疲れた。
 パンフレットの訂正原稿印字をしてから2時就寝。