山場

夕方、西荻で稽古。
スーパーで助六寿司を買って公園で食べたが、いなり寿司以外乾燥してカチカチになっていた。
30パーセント引きの商品だったが、さすがにそれはないだろう。
半分以上捨てる。

稽古前、鶴マミと少し話す。
3話について、お芝居っぽさを極力廃する意見を述べる。
「それやると、熟年カップルみたいになるのが心配」
気をつける方向性が違うが、それ以前に昨日の通しがダメダメだったことが堪えていたのだろう。

稽古場にて、3話を30分と少し自主練する。
動かず、本読みに近い形。
オレは演出ではあるけれども、鶴マミの相手役でもある。
そして役柄的に、あれこれうるさいことを言わない設定でもある。
難しいのはそのところだ。

どういう風にやりとりを導いていけばいいかは、ほぼ答えが出ている。
が、そこへ導くために、これまでやってきた方法ではダメだと思う。

これまでやってきたのは、演出のオレが外から鶴マミを見て、何度も繰り返しつつ役の心理を作っていく方法だ。
今回の3話でそれをやると、やればやるほど役柄のオレが、本来あるべき姿から乖離していく。

それ以前に、お互いセリフがまだ7割未満の入りということもある。
ここをクリアするのが最優先事項だろう。

美術の松本さん来る。
7時40分から通し。
1話、2話、4話はトチリもあったが、セリフが出てこなくてシーンが止まるということはさすがにもうない。
3話は台本を持ち、プロンプをつけてやる。
一番重要な<二人の空気感>は、昨日より作れていたと思う。

一つ気がついたのは、セリフを焦らず鶴マミの目を見て、心の中でにっこりすると、鶴マミもにっこりしてくることだ。
特にいちゃいちゃするシーンがあるわけではないが、こういう細かい部分を外さないでいけば、土壌が形成されるんじゃないか。
なにしろ、技巧的には大したことをしないのだから。
空気をいかに作れるかが、最優先課題なのだから。

となれば、やれることは<待つこと>以外にない。
自分を待ち、相手を待つ。
しんどいが、今焦ってごちゃごちゃ付け加えようとすると、取り返しのつかないことになる気がする。

通し後、ジョナサンで打ち合わせ。
照明尾池さん、星ちゃん、照明手伝いに回るタカ来る。
仕込みの流れなども確認する。

12時に店を出る。
レジ前に髪の薄くなったおばちゃんがいて、店員にクレームをつけていた。
目を大きく開き、おばちゃんは無言で店を出て行った。
その顔が余りにも恐ろしく、タカと顔を見合わせる。

12時半帰宅。
制作関連のメールを参加者に流す。