辛さランクは<涅槃>

 昼過ぎに下北沢へ行く。
 小春日和だった。
 <マジックスパイス>というカレー店でチキンカレーを食べる。

 この店は辛さが6段階に分かれている。
 一番辛くないのが<覚醒>で、もっとも辛いのが<虚空>
 ランキングが真ん中の<涅槃>が手頃に思えたのでそれを頼む。

 やってきたのはスープカレー。
 柔らかい骨付きチキンと、野菜が沢山入っていた。
 辛いが、たいそう美味い。
 備え付けてあったティッシュペーパーで汗を拭く。
 たちまちテーブルの上はティッシュだらけになる。

 食べ終わると心地よい疲労感があった。
 有酸素運動をしたあとの感じに似ている。
 癖になる辛さだ。
 今度来た時は<虚空>に挑戦してみたい。

 夕方、吉祥寺へ。
 4月にマグをやめた望月が神田さんと婚約したので、そのお祝い飲み会があったのだ。
 9月に私立小学校の教師になってから、東京の部屋を引き払うゆとりもなかったらしいが、今週末に彼女共々急遽静岡へ引っ越すことになったらしい。
 そこで神田さんの友人である村川さんが皆に声をかけ、今日の飲み会が開かれることになったというわけだ。

 神田さんは劇団漠の96年度生なので、その年代前後の連中が沢山来た。
 望月の知り合いということでは、マミちゃんが来た。
 宇原君も来る予定だったらしいが、体調を崩したようだ。

 久しぶりに会う人ばかりで楽しい会だった。
 しのちゃん、橋口さんなど、数年ぶりに会う人もいた。

 後輩の近況を聞いたりしながら穏やかに飲み、11時に帰宅。

 飲む前にマクドナルドで時間つぶしをしたのだが、その時に村上春樹の「アフターダーク」を3分の1ほど読んだ。
 三人称の小説には「彼がなにをした」みたいな表現が出てくるのだが、その語り主は一体誰かという問題がある。
 作者なのか、登場人物の誰かなのか。
 「アフターダーク」は章の書き出しで、読者に語りかけるような書き方をしている。
 見えるものを読者に伝えるやり方だ。
 ところがそうした書き方を小説ですると、催眠術士の口調に似てくるから面白い。
 「そこにはベッドがある。あなたには横になっている女性が見える」
 みたいな。

 まだ3分の1しか読んでいないが、続きを早く読みたくなる本だ。