ページをめくるだけでも一苦労の『ビートルズアンソロジー』だが、ようやく1967年にこぎ着けた。
1966年8月に最後のコンサートを終えた時、彼らはまだおそろいのスーツを着たマッシュルームカットの4人組だった。
サイケ調の服を着てひげを生やし髪を伸ばし始めるのが、それからわずか3ヶ月後だ。
見た目の印象から、3年くらいの隔たりがあるかのように思える。
ちなみにジョン・レノンがトレードマークの丸めがねをかけるのもその頃から。
他のグループとビートルズにある決して越えられない壁は、グループの結成から解散までに起きた事件の物語性だと思う。
特に1966年6月から1968年にかけての展開は、たった2年間に起こった出来事だとはとても信じられないほどめまぐるしい。
大まかにまとめると次のようになる。
・フィリピンでイメルダ婦人の晩餐会に出なかったため、暴徒に襲われる。
・ジョン・レノンのキリスト発言で、アメリカのバイブル地帯でビートルズボイコット運動。
・メンバーはツアーに嫌気がさし、コンサート活動をやめる。
・サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドのレコーディング。
・リリース後の反響。
・マハリシ・マヘシ・ヨギの超越瞑想への帰依。
・『愛こそすべて』衛星中継。
・ブライアン・エプスタインの死。
・マハリシの招きでインドへ。
・『マジカル・ミステリー・ツアー』の大失敗。
・マハリシへの不信と、アップル設立。
もっとも劇的な出来事は、やはりエプスタインの死だろう。
彼の死によって少しずつ歯車がきしみはじめる。