口を真っ赤に染めた女

 先週火曜から昨日にかけて、わりとよく走ったせいなのか、ここにきて体がギシギシ言いはじめた。
 疲れが取れない。
 こういう時は無理をしない。
 別にマラソン大会があるわけじゃないのだ。

 疲労が原因なのか、怖い夢を見た。
 古い知り合いと、どこかの旅館みたいなところに泊まっている。
 演劇かんけいの知り合いだったから、合宿みたいなものだろう。
 旧交を温めているという感覚と、ずっと一緒に稽古してきたという感覚が同時にある。
 夜。
 旅館のあちこちの部屋にわかれ、我々は飲んでいる。
 1階にある広い居間みたいな部屋に行くと、見たこともない女がいる。
 旧友の一人が、
 「そいつが○○を殺したんだよ」
 と言う。
 見るとその女は、口の周りを真っ赤に染めていて、蛇みたいなムチを手にして笑っている。
 「怖えなあ、こっちくんなよなあ」
 とつぶやいているうちに目が醒めた。