潜伏期間

 暑くなってきてビールがうまくなってきたのはけっこうなことだが、飲む量にことさら気をつけないといけない年齢になってきたと最近思う。
 いつでも3リットルオーケーだった時代はもう過去のことだ。
 特に最近は、ジョギングをして大量の汗をかいたあとにビールを飲むことが多いから、はじめの500ミリリットルは砂地に吸い込むごとく一瞬になくなってしまう。
 飲んだ気になり始めるのはその次からだ。
 これが危険だ。
 はじめの500ミリリットルは一瞬に体内を駆けめぐっているから、酔いは着実に進んでいる。
 しかし喉の渇きがそれに気づかせないのだ。
 調子にのってグイグイ飲んでいくと、いつの間にか午前3時を過ぎていたりする。
 翌日は起きるのが辛い。
 こういう目に遭うのは非常にむなしい。

 夕方、劇場の下見に行く。
 早稲田駅で6時45分に待ち合わせたのだが、5時50分頃に着いてしまったので、『メルシー』でラーメンを食べた。
 メルシーは早稲田の学生におなじみの食堂だ。
 ラーメンは390円。
 醤油ラーメンはスープの色が濃い。
 いわゆる東京ラーメンとはちょっと違う味がする。
 しょうゆ味としか言いようのない味で、だからといって醤油そのものの味でもないのだ。
 似たような味のラーメン屋はそうないだろう。
 
 その後本屋で時間をつぶし、45分に待ち合わせ場所に行く。

 新しい劇場の下見を済ませてから、早稲田のモスバーガーで打ち合わせをする。
 1時間くらい話す。
 次回公演の台本を書き始めていることを二人に伝える。
 タイトルは『ア シュラ シュシュシュ』
 仮名はまだ未定。
 人質になった2組のカップルと、立てこもった犯人の話。
 マグネシウムリボンの次回公演、そろそろ決まりそうだ。

 サラ・ウォーターズ『半身』読み始める。
 19世紀のロンドンを舞台にした歴史ミステリー。
 歴史ミステリーといえば、ロバート・ゴダードが思い浮かぶが、『半身』は今のところまだつかみ所がない。