手探りの初日

 12時過ぎ劇場入り。
 早引き大王と化しつつある。

 昨日やってうまくいかなかったラストの転換は、明かりの入る時間を何小節かずらすことで解決した。
 そのまま、ゲネの準備に入る。

 2時過ぎからゲネ。
 客席の中央やや後ろの席で見る。
 気になるのはやはり転換における暗転の長さだった。
 慣れていないということもあるが、長く感じられた。

 直しを経て、本番準備にとりかかる。
 とはいえ、本番ともなるととりかかるのは役者とスタッフさんであり、こちらは見守るのみとなる。

 スタッフルーム入り口の扉近くに椅子を置き、そこで本番を待つことにする。
 そこは受付と楽屋、舞台と楽屋をつなぐ連結点であり、受付からすきま風が吹き込む氷結点でもある。
 通りかかる役者から、
 「そんなところで…」
 という声をもらう。

 寒さにギブアップする形で、開演10分前ほどに客席に入る。
 最後列下手よりの席に陣取る。
 上手よりの席には、美術の明吉さんが陣取っていた。

 7時本番。
 手探り状態で始まる。
 前半戦は手探り感と堅さが目立った。
 中盤から少しずつ慣れた感じになる。
 客席からの反応を受けてほっとしたということもあるだろう。
 心配していた転換の長さは、ゲネに比べると気にならなかった。

 劇場退出後、初日祝いを大塚の一休でする。
 前半のシーンは、戦争の影がかなり感じられ、和む暇がないということがある。
 そのために無邪気にげらげら笑うことはできないのだが、戦争が終わるとほっとするため、たとえば笑いなどの反応は後半戦に集中していた。

 11時半に退出。
 12時帰宅。
 駅からの道のりは寒い。
 思えば、稽古開始時はまだTシャツ1枚で稽古場に通っていた。
 気温も30度を越えたりしていた。
 2ヶ月は長い。
 秋はあっという間に過ぎ去り、目前には冬が迫っている。