役作りご飯炊き

 堀江敏幸『河岸忘日抄』読了。
 『オルシニア国物語』に続けてドラマ性の少ない小説を読んだことになる。
 河岸の船で生活する男がいて、あとはコーヒーのことや樽のこと、映画のことや小説のことが唐突に語られる。
 こういう本は、時間をかけてゆっくりと読むべきものなのだろう。

 昼から南中野で稽古。
 昨日とは逆に、昼は山崎、太田組。
 夜は松本、マミ、松井組。

 昼稽古は昨日に続き、二人の掛け合いシーンの稽古。
 芝居の面白さは色々ある。
 その中でも、登場人物二人の掛け合いというのが、昔から好きだ。
 だから、今やってみたい芝居は、実は二人芝居だ。
 50分くらいのやつ。
 あえて3時間ものをやるというのも一興だけど、お客さんが嫌がるだろう。

 4時前に稽古終了。
 夜の稽古場があくのは6時。
 時間が余ったので、バスで中野まで行き、ドンキホーテでカーボンヒーターを買う。
 ハロゲンヒーターみたいなものだが、ハロゲンより熱効率が高いらしい。
 石油ファンヒーターにしようか迷ったが、それだと今の部屋では暖かすぎる気がする。
 灯油の購入と補給や、空気の入れ替えも面倒くさい。

 本棚から引っ張り出してきた『ゲド戦記』読む。
 読み返すのは3年ぶりだが、前読んだ時よりも内容がすんなり頭に入ってきた。
 いや、頭に入ってきたというより、物語の展開を素直に楽しめた。
 ジブリがアニメ化するという噂だが、監督が宮崎駿の息子らしい。
 それはちょっとなあ。

 6時から、松本、マミ、松井の稽古。
 台本の頭から順にやっていく。
 トモミゴロの台詞で、なぜか言い方が高貴に聞こえる部分が一箇所あった。
 本人に聞くと、高貴とかそういうのを意識したわけではないという。

 健ちゃんは今までのイメージとはかなり違う役どころだ。
 4年前なら俺と健ちゃんの役は逆だったかもしれない。
 声が心配。

 マミちゃんはモノローグ的な台詞が多い。
 きっかけ動きを築き上げていくのはやはり巧い。
 能力が高いのだろう。

 役作りを、おいしいご飯を炊くことにたとえるとどうなるか。
 マミちゃんは、お水の量、研ぎ加減、蒸らし時間に注意する。
 山ちゃんは、いい米屋と性能の良い炊飯ジャーを探し、基本に忠実な炊き方をする。
 トモミゴロは、有機栽培の稲作農家を尋ねるため、新潟新幹線に乗る。
 太田君は、あえて普通の鍋で炊き、おこげにこだわる。
 健ちゃんは、ご飯をやめてうどんにしようか迷ったあげく、パンにする。

 俺はなんだろう。
 理想としては、結婚して3年くらい経ち、子供ができないので旦那の実家と折り合いが悪く、旦那は旦那で最近妙に帰りが遅かったり頻繁にメールチェックをしていたりと怪しい行動が目立ち、そのことで前の晩に激しい喧嘩をしたばかりの28歳人妻がアンニュイな午後を過ごしているマンションへ「奥さん米屋です」と突撃してゆきたい。

 8時過ぎ、田中さん来る。
 タイムテーブルや図面など受け取り、簡単に打ち合わせをする。

 9時40分帰宅。
 グラタンを食べ、野菜スープを飲んでいったん休憩する。
 10時45分に西荻窪のジョナサンへ。
 照明の奥田さんと須賀谷さんに会い、簡単に話し合いをする。
 11時半終了。

 うちに帰り、買ってきたカーボンヒーターの具合を試す。
 前に買ったハロゲンヒーターよりは、ヒーター部の面積が大きいので、それだけで少しは違いがありそうだ。