千秋楽、コの字打ち上げ、大晦日

 9時起き。
 熱を計ってみたら、35度7分しかなかった。
 昨日のアスピリンが今ごろ効いたのか。
 お腹はほんの少し空いているように感じられた。
 胃袋にたまっていた食べ物が、腸に下りていった感触がある。
 もしかすると、昨日飲んだアスピリンは、一日中消化されないまま胃袋にあったのだろうか。
 それが今ごろになって吸収され、それで今朝の体温が低かったのだろうか。

 いずれにしても体調はずいぶん良くなった。
 10時半劇場入り。

 開演前にバラシの段取りを田中さんが説明する。
 どのくらい時間がかかるかというより、どのくらい時間が余るかの方が気になる。
 ニッポンレンタカーに行き、打ち上げをやっている深夜に車を預かってもらえないか直談判するが、繁忙期ということで断られた。

 1時マチネ開演。
 昨日より体調が良くなったと思っていたのだが、声が出なかった。
 体の冷えと関係があるのか。

 終演後、7月の飲み会以来久々に、清水と榊原に会う。
 「三茶は近くていいね」
 と榊原。
 清水は、3ヶ月間奥さんが入院していて、仕事と子育ての両立生活が響いてかすっかり痩せていた。

 マチネとソワレの間、綾香と少し話す。
 音楽の話など。

 5時に千秋楽。
 といっても3ステージだから、とうとう最後かという感慨はない。
 芝居中、ピンポン玉を口から出す手品をやるのだが、ゲネで仕込みにてこずった以外は、うまくいっている。
 昼に見た榊原から、
 「あれは、どうやってるの?」
 と聞かれたので、手品素人にしてはうまくやれたということだろう。

 5時の会は知り合いが多かった。
 バラシが早く終わりそうということもあり、打ち上げに来られそうな方々に声をかける。
 そのままバラシ。

 楽屋の片付け、私物の整理、それから松本さんのインパクトドライバーを借りて柱の解体手伝いを少し。
 8時にはあらかた片付いてしまった。
 打ち上げは9時半開始なので、それまで役者とスタッフさんは解散とする。
 9時まで劇場に残り、中山君と漫画の話をする。

 車を借り、246をUターンさせて劇場へ。
 ばらした資材と制作用具を積んで、田中さんとコインパーキングへ。
 ディスカウントショップの門を右折するのだが、大変狭かった。
 こちとら、運転が上手いわけではないので、田中さんの誘導がなければ立ち往生していたかもしれない。

 9時半過ぎに打ち上げの店へ。
 入ってみると、コの字型カウンターにみんなが散らばるという感じのレイアウトだった。
 乾杯は先にしたとのことだった。
 立つと、店の人が後ろを通れなくなる様子だったので、そのまま地味に忘年会風の打ち上げ開始。
 その頃西野さんが迷子になっていた。
 8時のフリー時間中、荷物を置きに行き、帰り道で迷ったらしい。

 戸田君からアンケートをもらう。
 「なんか、色んな変なこと書いたんだけど、芝居の感想じゃないんでアレだけど」
 見ると、現在の状況をマインドマップにしたものや、人口についての覚え書きがしたためられていた。

 先日稽古見学に来た、北居さんとSFの話をした。
 フィリップ・K・ディックが好きだそうな。
 ハインライン、アシモフあたりも読むとのこと。
 ハインラインといえば『夏への扉』
 今度読み返そうか。

 空中バレエの坂君と富田さんも来た。
 最近、舞台監督の仕事も勉強しているとのこと。

 その後、松本さん、田中さんと話す。
 松本さんの所属している突貫屋の倉庫が引っ越すらしい。
 聞くと、かなり大掛かりな話になっていて、田中さんと二人で、
 「いいなあ」
 「すごいですねえ」
 とため息をついた。
 だが、ため息ばかりで終わらせないで、来年を過ごしたい。

 2時に一次会は終了。
 246沿いのカラオケ館を二次会にとってあるという。
 歌う気分じゃなかったが、トーク部屋も取ったらしいので、休憩する気分で店に行く。

 山ちゃん、マミちゃん、北居さん、なおみが歌わない部屋にいた。
 久保田君が隣の部屋から来たので、一曲歌ってもらった。
 山崎まさよしを歌っている久保田君の写真をなぜか11枚も撮ってしまった。
 さすがにもったいない気がした。

 隣の部屋をのぞきに行くと、松本さん他みんな歌いまくっていた。
 ビデオ撮影の松島君と糸長さんも来て、歌っていた。
 一曲だけ入れて歌い、元の部屋に戻った。

 歌わない部屋は睡眠ルームと化していた。
 健ちゃんが来て、
 「あなたは寝てください」
 と言った。
 明け方の運転に備えろということだが、こういう時は中途半端に寝た方が辛いのだ。
 『ファミリーアフェア』がそうだった。

 結局、歌わない部屋でも、起きている人がちょろっと入れては歌ったので、俺も何曲か歌った。
 終わった頃には声がガラガラになっていた。

 5時に解散。
 寒い寒い外で、簡単な一本締めをし、良いお年をと声をかける。
 そのままコインパーキングへダッシュし、車を246にまわす。
 健ちゃんを後ろに。松本さんを助手席に乗せ、相模大野の倉庫に向かう。

 車内でメールをする松本さんから、ウエストエンドスタジオの騒音問題について話を聞く。
 そういえばあの劇場は、上の階でやっているバンド関係の音がうるさくて、本番中でも音がずんずん響いてくる。

 相模大野には30分ちょっとで着いた。
 外に出た途端、明け方の冷気に震える。
 荷物おろしは数分で終わった。
 トイレを借り、健ちゃんを助手席に乗せ、246へ。
 西荻の俺のうちへ向かう。

 車中、今回の公演についての話。
 主に、誰がどう言ったとか、どうしたとか、そういったうわさ話。
 お互い、声ががらがらだった。

 7時に西荻到着。
 私物を部屋に戻し、今度は青梅街道から谷中へ。
 大晦日ということもあり、道は空いていた。
 8時に谷中到着。
 ダンボールにまとめた制作用具を、松本健宅に置く。

 そこから赤羽のニッポンレンタカーへはすぐだった。
 車を返却し、健ちゃんから立て替え分のパーキング代2000円をもらい、立派な掛け布団をかけて本を読んでいるホームレスをうらやましく横目で見ながら駅に向かう。
 赤羽駅で健ちゃんと別れ、9時半に西荻窪到着。

 正月の買い物を何ひとつしていなかったので西友に入る。
 しかし、何もかも高く感じられたので、線路沿いを歩いて食鮮館へ。
 干し椎茸、里芋、にんじん、竹の子、ごぼう、蓮根、切り餅、ゆで小豆、牛肉モモブロック買う。

 10時半帰宅。
 すぐにシャワーを浴びる。

 煮豚用の肉が高かったのと、煮込む時間が面倒だったので、ローストビーフを作ることにした。
 クレージーソルトをまぶし、フライパンで焼き色をつけてから、オーブンで焼く。
 焼きあがった音が聞こえた頃、眠気に負ける。