村上春樹の肉の声

『ねじまき鳥クロニクル』の1巻と2巻を読み終えた今日、村上春樹氏がカフカ賞受賞の記者会見に出席した。
場所はカフカを生んだ国、チェコ。
海外プレスに囲まれ英語で話す村上春樹は、羽田孜元首相そっくりではあったが、おおむね落ち着いた雰囲気で、記者達に好印象を与えていた。

春樹の隣にいた白州正子みたいな日本人女性はどうやら夫人らしかった。
『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる女性・ナツメグみたいだなと思った。

そういえば村上春樹の肉声を聞いたのは初めてだ。
初めてなのに英語だ。

文庫本になった村上春樹の作品は、解説がついているものが少ない。
ほとんどないといってもいい。
あれはどういうことだろう。
ポリシーだろうか。
文庫本の解説を楽しみにしているというわけではないから別にどうでもいいのだけど、気になると言えば気になる。

『風の歌を聴け』の文庫には巻末にあとがきがあったが、『羊をめぐる冒険』以降はそれもない。
20年くらい前からずっとそうだ。

20年前に文壇というものは機能していたのだろうか。
野坂昭如が『文壇』で描いたような濃い人間関係はさすがになかったかもしれないが、今よりは存在感があったろう。
文壇から見れば、村上春樹は面白くない存在だったに違いない。

そういえば『風の歌を聴け』は映画になったと思う。
それ以外の作品が映画やドラマになったという話はあまり聞かない。
『トニー滝谷』くらいか。

逆に言うと、映画になり得ないからこそ、小説としての存在価値が高まるということはあるかもしれない。
先日読んだ『品川猿』は、悪さをする猿が捕まり、おもむろに人間の言葉でしゃべり出すところがおかしい。
妙に申し訳なさそうなところがさらにおかしい。
こうしたおかしさは、映像化した瞬間たいしたことないものになってしまうんじゃないか。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は、視覚的に面白いと思うけど。

カフカ賞受賞はめでたいけど、長編の新作が読みたいものだ。
『海辺のカフカ』のカーネル・サンダーズや、『品川猿』みたいに、笑えるキャラクターを作って欲しい。
(春樹の奴、絶対楽しみながらこれ書いてるぜ)
と、こちらもニヤニヤしながら読みたい。

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