京都めぐり

早朝7時京都着。
地下鉄を使い、ホテルそばの駅まで行く。
ナップザックに必要なものを残し、荷物をコインロッカーにしまう。

バスに乗って嵐山方面に向かう。
市街地から太秦を経る。
途中、市電と併走したりする。
クレイジーケンバンドの歌が頭の中に流れる。
行き交うバスには、生八つ橋「夕子」の広告が印刷されている。

亀山公園を散策しながら、紅葉を眺める。
今週がまさに見頃のようであった。

向かいの山から猿の鳴き声が聞こえた。
天龍寺、野宮神社を経由し、化野へ向かう。

化野念仏寺を見学。
水子の供養をしているのだろうか。
不気味な無縁仏が沢山あった。
夜にたった一人で来たら、おそらく内股歩きになってしまうであろう。

続いて愛宕念仏寺へ。
五百羅漢の仏様を一つ一つ見る。
笑っている顔が多い。
中には難しい顔をしているものもある。

人は、死んだら、五百羅漢になるのだろうかと、一瞬思った。
羅漢さんの表情はどれもが、辛かったり苦しかったり嬉しかったり楽しかったり悲しかったり愛しかったりした人生を終え、
(やれやれ、色々あったが、まあこれでよし)
とひと息ついているように見えた。
自分の勝手な解釈なのだけど、そう思って眺めると、とてつもない荘厳さに圧倒される。
涙が出る。
ここなら、夜にたった一人で訪れても、
「ただいま」
と言えそうだ。
「おかえり」
と返事がきたら、それはそれでおっかないが。

紅葉を楽しみながら歩く途中、甘味の補給などする。
ぜんざいを食べ、お茶を飲んだ。
ぜんざいは量が少ないが、かなり甘かった。

嵯峨鳥居本町並み保存館というところにも入る。
町並みを保存しており、その模型や資料を展示していた。
保存館自体も、古い建物。
床の間がある。
庭の眺めが美しい。

羅漢さんを見てから、嵐山の駅方面に戻る。
バスに乗ったのだが、道の途中で運転手さんがアナウンスした。
「ここから先は、駅まで普通4分のところ、おそらく1時間かかりますんで、お急ぎのお客さんはここで降りはったほうがよろしいかと思います」

その言葉を信じ、降りて昼飯を食う店へ歩く。
確かに道は観光客で混雑しており、車はなかなか前へ進めない状況だった。

「ぎゃあてい」という店へ行く。
京料理食べ放題の店。
行列に並んでいるのは、若い人が多かった。

20分ほど待ち、店内へ。
煮物が多かった。
切り干し大根、ひじきの煮付け、きんぴらゴボウ、里芋の煮物、がんもどきの煮物、こんにゃくの煮物、沢庵の煮物、竹の子の煮物、白菜と水菜の煮物、茶碗蒸し、ごま豆腐、唐揚げ、お新香類、お麩の揚げ物など食べる。

ひじきの煮付けが感動的なほど旨かった。
これほど旨いひじき煮を食べたのは人生で初めてだ。
どうすればこんなに上手に煮物が出来るのだろう?
昆布出汁か? みりんか?
今の自分にはできない。

食後、バスに乗り大沢池へ。
中国風の丸い池。
鴨が泳いでいた。
敷地内には猫が数匹いた。
半野良で、観光客からえさなどをもらっているためか、近づいても逃げなかった。
茶虎の猫が二匹いて、目の前で地面にぺたんと横たわった。
茶虎の猫はどういうわけか、ひときわバカに見える。
バカに見える猫はかわいい。

地図を広げ、大沢池の隣にある広沢池へ。
普通の住宅地を抜け、農地のど真ん中を通る。
古道らしい。
20分ほど歩くと、広沢池に着いた。
大沢池とは違い、水がだいぶ引いており、池の大部分が干潟のようになっていた。

バスに乗り、ホテル方面へ。
市内まで1時間かかった。

チェックインを済ませてから、バスに乗って清水寺へ。
日はすっかり暮れていた。
土産物屋が並ぶ坂を上りながら、
(ここ、来たことがあるぞ?)
と感じる。
修学旅行の時のかすかな記憶が蘇ったのだろうか。

夜の清水寺はライトアップされていた。
レーザー光線が空に向かって放たれていた。
寺社というより、空からの攻撃に備える連邦軍の前線基地みたいであった。
門の両脇に、ガンダムとガンキャノンを立たせればよろしい。

真っ暗な中、お寺の胎内巡りをする。
通路の手すり際にある数珠を頼りに、暗闇を歩くというもの。
アトラクション的要素が強い。
実際歩いてみると、お参りにしては長く、アトラクションにしては短かった。

ライトアップされた紅葉や清水の舞台を写真に撮る。
混雑していた。
休日の人手はもっとすごいだろう。

湯豆腐でも食べようかと思ったが、土産物屋の坂道にある店は、土産販売の片手間にやっているような気がしたのでやめる。
昼に沢山食べたので、それほど腹が空いていないということもあり、先斗町をふらついて気に入った店で一杯飲むことに。

先斗町を歩く。
庶民的な居酒屋を見つけたので入る。
ビールを飲み、はもの天ぷらなどをつまむ。
店の大将は50代くらいのおっさんで、それ以外の店員は全て20代前半の若者だった。
女の子が愛想良くてかわいく、男の子はタバコを吸ったり一杯飲んだりしながら気ままに働いていた。

ほろ酔い加減になってから、近くのカフェ『ソワレ』に行く。
店の女の子が満面の笑顔で2階に案内してくれた。
ウイスキーコーヒーを頼む。
店の照明が変わっていて、水色系だった。

ホテルに戻る。
深夜バスの疲れをものともせず、一日よく歩きよく食べたので、シャワーを浴びると眠気で頭が揺れた。
目覚ましのタイマーをセットし、12時前に寝る。