悪魔のようなあいつの意味

夕方、西友で圧力鍋を購入。
電気代節約目的。
それに、大根や肉や豆など、火を通す料理の時間短縮と簡便化。

豚ロースブロック肉も安かったので同時に購入。
うちに帰り、カレーを作る。
圧力鍋の使用に慣れるのが目的。

筒井康隆の短編に『顔面崩壊』というのがある。
シャラク星へ行った体験談の一人語り。
星の大気が薄いため、ドド豆という豆を煮る時に圧力鍋を使う話から、鍋が破裂して豆が顔面に食い込み、顔面が崩壊していくまでが語られる。
朗読向けのテキストだと思う。

鍋を温めているとその話を思い出し、キッチンにいるのが怖くなった。
パソコン部屋に避難し、肉や玉ねぎが柔らかくなるのを待った。

カレーは首尾良くできたが、もう少し長めに煮込んだ方が柔らかくなったと思う。
顔面崩壊に怯え、及び腰になってしまったのが敗因か。

筒井さんの作品は一人語り形式の傑作が多い。
一番好きなのは『陰悩録』
字が違っているかもしれん。

これは、知恵遅れで6歳くらいのオヤジが、湯船につかって風呂の栓を抜いたら睾丸が穴に吸い込まれ抜けなくなり、風呂から出られなくなるという話。
初めて読んだときはゲラゲラ笑った。

『読者罵倒』もおもしろい。
最初から最後まで、文字通り読者を罵倒するだけだが、ボキャブラリーの豊富さと使い分けが快い。

夜、『悪魔のようなあいつ』12話見る。
安田道代が徐々に壊れていく。

ゴールデン・カップスのデイブ平尾が出ている。
物語の深いところとは関わらないちょい役ぶりが、話が進んでいくにつれ好ましく見えてくる。
他の役はみんなどこか壊れているためだろうか。

不治の病に冒されているがゆえに、時効が成立したとしても使うあてのない3億円は、良(ジュリー)の青春そのものとなり、時効の成立と死の到来がイコールとなっている設定は、実に奥深い。
3億円に執着すればするほど、ジュリーは死の影を帯びていく。

女達は<死の影>に魅せられていくかのように、ジュリーを自分だけのものにしようとする。
男達が3億円を我がものしようとするのと同じように。

ここでようやくタイトルに合点がいく。
3億円で男達を、自分の存在で女達を、破滅へと導く、悪魔のようなあいつ。

さて、残るはあと5話だ。