初秋刀魚

蒸し暑さのため6時半に起きた。
カーテンが開いており外は明るかった。
厚い雲が空をまんべんなく覆っていた。
雲を取りのけると宇宙空間が見えるような気がして恐ろしくなり、布団から出た。
丁度炊飯器のアラームが鳴ったので、出来上がった炊き込みご飯を混ぜた。
具材は、椎茸、舞茸、しめじ。

1合につき醤油と酒をそれぞれ大さじ1、砂糖は小さじ1。
あとはだし汁を適宜、米の量に見合うまで足す。
これが自分の一番好みの、炊き込みご飯の味だ。
今回はアクセントに生姜を少し足した。

部屋が暑かった。
炊き込みご飯を食べると汗だくになってしまうと思い、なにも食べず、7時50分過ぎに家を出た。
外は部屋の中よりもずっと涼しかった。
自転車をこぐと汗がひいていくのがわかった。

電車の中で、筒井康隆『虚航船団』読む。
久しぶりに読み返している。
二十歳の終わりに『夢の木坂分岐点』と出会い、狂ったように筒井康隆の作品を読み漁った。
『虚航船団』は二十一歳の夏に読んだ。
面白いかどうかより、作品に立ち向かうことの方が、当時の自分には重要だった。

その後、文庫本になってから読み直し、読むものがなくなった時に何回か読み直した。
今回の読み直しが何回目かになるかはわからないが、一番楽しめている。
第一部をあっという間に読んでしまった。

ブログを検索してみたら、2003年の5月に読んでいた。
ああ、なるほど、あの頃か。

午前中、先週引き継いだ仕事の出力データに不備があると言われ、目を釣り上がらせて調べ、11時に修復した。
あとは、引き継いだもう一つの仕事のため、エクセルのマクロを書いた。

昼、玉子屋でおかずだけ頼み、家から持ってきた炊き込みご飯と一緒に食べる。
生姜が控えめに効いていて美味い。
食後、『虚航船団』の第二部を読む。
世界史のパロディになっていて、一番読みづらいところだ。
歴史好きの俺が読みづらいのだから、普通の人にとっては読むのが苦痛な箇所かもしれない。

午後、マクロ書き。
昨年の1月に今のチームに配属されてから、5ヶ月あまりAccessを使うことがほとんどなく、どういうわけかエクセルのマクロばかり書いていた。
その残骸が仕事先の自分PCに残っている。
今回引き継いだ仕事のように、エクセルのデータをどうこうする場合は、そうした残骸が<部品取り用>にとても役に立つのだ。

(昔の俺は頑張っていたなあ)

と、感心することもある。
最近はシステムがかなり落ち着いてきて、なんだか、旅をしなくなった水戸黄門のような気分でいる。
「なあ助さん、世直しとかそういうんじゃなくて、純粋に楽しみのタメに、お伊勢参りとかいかないかい?」
そんな気分。

夕方、急に牡蠣が食べたくなる。
帰り道、荻窪の西友に寄り、
「牡蠣牡蠣牡蠣」
と滑舌をしながら生鮮食用品コーナーへ突進するが、まだ出回っていなかった。
きっと夏期のせいだ。

プランB。
出回り始めた秋刀魚を買う。
あとは大根のハーフ。
先っぽ部分。
大根おろしマニアとしては、辛みの強い先っぽ部分を使いたい。

6時半帰宅。
秋刀魚と大根おろし、茄子の煮浸し、なめこの味噌汁、蒸かしたかぼちゃ、炊き込みご飯を食べる。
大根おろしの汁は捨てず、ご飯にかける。
鼻から後頭部に幸せな辛さが抜ける。
大根おろしの辛さと向き合わせてくれるから、秋刀魚は好きだ。

洗い物をして、PCのCドライブをチェックする。
マイコンピューターからはきちんとパーティションが区切られているのに、パーティションマジックを起動すると、Cドライブ全体が「不良」部分と表示されてしまう。
ちゃんと起動するので問題はないが、気分はよくない。

9寺過ぎジョギング。
西荻窪を経由してNTT武蔵野研にいたるコース。たぶん10Kと少し。