水道橋ラスト

5年間も通い続けた水道橋・飯田橋界隈の仕事場とも本日お別れなのに、淡々としていた。
特にランチで足を伸ばすでもなく、コンビニ食で済ませる。
夕方も荷物梱包を淡々と終えて定時にあがる。
しばらく来ることもないだろうなあと思う。
東京ドームでライブがあったりしたら、界隈をうろつくことがあるかも知れないが。

夕方、上荻で稽古。
芹川、今週本番の平木君の芝居を見てきたという。
劇場で役者の写真が売っており、平木君のものをもらってきていた。

風邪はすっかり良くなったが、鼻声は治らない。
来週くらいまでかかるかもしれない。
台本の方は週末が大詰めだろう。
今回は自分が出ずっぱりなので、相手役のキャスト全員が、自主練ができないでいる。
出ずっぱりは『ファミリーアフェア』以来だが、あの時とは目的が違う。

『ファミリーアフェア』の時は、役者の自分に強烈なビンタを与えたくて、出ずっぱりの設定にしていたところがある。
今回はむしろ、舞台上で他の役者と絡みながら演出するやり方を、自分なりに考えてみたくてそうしている。
舞台の真ん中で視野を広げてみると、とにかく稽古場の全体がよく見える。
演出席にいるよりも、色々なものが見えるのだ。
相手役の表情、目、息づかい、戸惑いの瞬き、稽古を見ている役者、台本を読んでいる役者、スマホをいじっている役者、ストレッチをしている役者。
すごい情報量だ。

稽古場に、どんな感じで「いる」のかは、役者それぞれ千差万別だなあということが、実によくわかる。
もし、役者だけをやって、主役だったら、わからないはずだ。

厳密に言えば、今回の自分は主役ではないと思う。
狂言回しというか、ホストというか、そういう役割が強くある。

稽古後、芹川にメール。
マグネシウムリボンの台所事情について。
こういうことについて、言ったものなのかどうか、自分でもわかっていなかい。
ただ、言わないままにしておいて、致命的な状況になってから、
「あの時、実は、ああだった」
と蒸し返すよりはいいだろうと思った。
現時点で、過去の色々な時ほど致命的じゃないということもある。

あとは、自分の精神衛生上の問題もあるかもしれない。
猜疑心や、自分だけが辛い思いをしている感覚は、理性じゃ押さえきれない。

芹川から返事。
要するに、いつも通りチケットを売ってくれるとありがたい、ということなのだ。