稽古最終週だが、稽古そのものでは埋められないものはなんだろうと考えながら仕事をする。
考えるといっても、過ぎてしまった過去や、先の未来のことではなく、今日の稽古をどうするかに限定した。
そうしないと、過去からは後悔が、未来からは不安がやってきて、脳を占拠するのだ。
昼、代々木の『ポパイ』でランチ。
ハンバーグ、ハムカツ、それにチキンカツが2個ついて、750円だった。
沢山ご飯を食べたので、稽古へのモチベーションが上がった。
芹川と知恵ちゃんに、今日の稽古後飲まないかとメールをする。
稽古後の飲みは数回あったが、マグのメンバーだけで話すことが皆無だった。
本番が終わってからにしてはどうかと、芹川から返信がきた。
再び返信し、了解を得る。
反省会や制作会議のようなことをしたいわけじゃなく、本番前に普通の会話がしたいと思っただけのことなのだ。
本番が終わってからだと、その普通の会話は本番に生かせない。
じゃあどんな会話かというと、普通の会話だ。
さしあたり自分がしたかったのは、仕事の話。
普段どういう仕事をしているのかを普通に聞いて、なるほどと思いたかった。
仕事後、稽古場に向かう途中、知恵ちゃんからも了解メールがきた。
夕方、西荻窪で稽古。
パイナップルの切り方を教えるシーンを付け加える。
セリフは書かず、その場で口立て。
稽古後、駅で皆と別れ、マグ三人で「鳥貴族」へ。
週末から今週にかけて、芹川は仕事の休みがないという。
自然に、仕事の話を聞くことになった。
聞きながら、彼がどういう仕事をしているのか、これまで具体的に聞いたことがなかったのを知った。
知恵ちゃんは、今回の稽古は飲みが少ないので、太らずに済むという話をした。
前回のマグ公演では、稽古のたびに飲みがあったので、尾鷲肉知恵になってしまったらしい。
「(つまみを)食べるからだよ」
と芹川が言った。
そのまま、仕事の話を中心にする。
自分も、仕事先が移転したことなどを話す。
芝居には全く関係のない会話を1時間半ほどして、会計をしてもらった。
本番前に、マグ飲みができて良かった。
ただの世間話だったことが、なお良かったと思う。
もしかすると、会話の内容なんて、関係ないのかもしれない。
偏見を捨てて話を聞き、相手の認識をリセットできれば、どんな話でもいいのかもしれない。
本番まであとわずかだ。
残る日々は、受け入れる、ということに全力を傾けることにしよう。
それが、今日の飲みを経て思ったことだ。