スマホの目覚ましが波の音を響かせる。
7時に起きた。
目覚ましを止め、再び夢の中へ。
海辺にいる夢ではなく、効果音CD全集「波の音」編を視聴している夢。
ザザー。
ザッパーン。
ザザザザ。
そして1時過ぎに起きる。
頭だけは波に洗われたみたいにくしゃくしゃだった。
2時に下北沢へ。
「王将」にて大学時代の友人達と会い、定例反省会。
「来たばかりのところ申し訳ない。店、移ろうと思って」
なぜと聞くと、暑いからだという。
まったくそう思わなかったが、食べ残しの餃子と野菜炒めを食べると、確かに暑くなってきた。
清水、榊原、飯川、皆それぞれ運動人間なので、炭水化物を摂取すると過剰に発熱するのだ。
「劇」小劇場方面へ歩き、ガード下をくぐってすぐにある「新台北」という台湾料理店に移る。
涼しくて、我々には丁度良かった。
反省会の続きをする。
知人それぞれのアレは、有罪か無罪か、などなど。
オレも告発された。
「清水の結婚式で、新郎新婦が入場する大事なタイミングで、塚本、二人の後ろからのこのこ入ってきたよね」
飯川くんによる告発だった。
「しかも塚本が遅刻した理由が、途中でつけ麺食ってきたっていうんだからよ」
清水も証言する。
だが結局は、オレの入場は係員が止めるべきだったという結論となり、有罪は免れた。
5時過ぎに店を出る。
「暑さを峠を越えたね」
「だね」
「秋だね」
「だね」
など話しながら駅へ。
皆と別れ、井の頭線で吉祥寺へ。
中央線で国分寺。
着いた頃には大雨になっていた。
雨雲レーダーのサイトをチェックすると、局地的集中豪雨であることが一目でわかった。
雨は20分ほどでやんだ。
6時半に細田くんと待ち合わせ、再開発の進んだ北口を西にいったところにある「恵比寿屋」というお店へ。
チラシの打ち合わせをする。
今回は孤独をテーマにしているのだが、それを癒やそうという内容ではない。
むしろ孤独はそんなに悪いものじゃないという考えに則って作りたい。
夫婦、カップル、仲間、皆それぞれがいったん別れ、一人になり、孤独を体感した後で再び一緒になった時、以前よりも関係を成熟したものにさせている感じを表現したい。
孤独のプロパガンダにしない、そのバランスが難しい。
「結局、何が言いたいんだ?」
という芝居に陥る危険性がある。
結局、何々だ、で片付けられるなら、そもそも芝居にはしていない。
そんなに短い言葉で済むならTwitterでつぶやけばいい。
というより、短い言葉にできないから芝居にするという流れも、考えてみればおかしいじゃないか。
まるで、仕方ないから芝居にしている、みたいじゃないか。
芝居にしたい、とすら、別に思っていない。
芝居にする、と、宣告するのみ。
「それって意味ありますか?」
意味を必要としなければ芝居に出来ない方が、不自由だろう。
くしゃみには、体内に侵入した細菌やホコリを排出する意味があるけれど、我々はそんな意味とは関係なしにくしゃみをする。
むしろ、くしゃみを止められない。
そんな感じになるといい。
細田くん、最近体重が増加したという。
見た目はあまり変わらないのだが、
「過去最大ですよ」
とのことだった。
もともと痩せており、超大盛といったメニューは食べられないらしい。
「沢山食べると、翌朝、食べられないですね」
それでも食事を抜くことは少なく、食べないと仕事にならないという。
自動的に腹八分目を維持するように、骨格と内臓ができているのかもしれない。
マグの昔の台本を、脚本サイトにアップしたままでいるため、時々上演許可を求められるという話をする。
「下手くそで、読み返すのが嫌になるんだ」
「でも、その時のそれだから、いいというのもあるんじゃないですか?」
「そうなのかな」
「イヤだと感じてしまうのは自分だけかもしれませんよ。僕も昔描いたものはトランクにまとめてます。絶対に開けないですけど」
なるほどなあと思った。
野宿の話もする。
フランスに行った時、野宿をしたと細田くんは言う。
「バックパッカーとかその辺の公園に寝転んでいて、意外と安全でした」
ふとひらめいた。
「今度の芝居のために、野宿してみようかな」
「いいじゃないですか」
「できるかな?」
「できますよ」
「多摩川べりとかどうだろう?」
「あそこは出来ますね」
細田くんは肯定的だった。
過去、酔っ払って電車で運ばれるなどして野宿をしたことはあるが、自分からしようと思ってしたことはない。
やるとすれば、まだ暑い夏のうちだろう。
11時過ぎまで色々話す。
とても良い雰囲気のお店だった。
外に出ると豪雨だった。
駅まで細田くんに相合い傘をしてもらうが、二人とも半身がずぶ濡れになってしまった。
駅で雨雲レーダーを見ると、雲は国分寺周辺に固まっていた。
荻窪に着いても土砂降りだった。
雨雲レーダーを見る。
どうやら雨雲は、中央線と一緒に東へ移動していたらしい。
30分ほど雨宿りをする。
12時過ぎ帰宅。