タイムマシンを発明した博士の芝居

9時半過ぎに起きる。部屋が寒かった。朝飯食べる。夕べ作ったスンドゥブ、オニオンサラダ、さば水煮、お粥。

昼過ぎまで、海外サイトでホームコンピューターの歴史を調べる。70年代後半から90年代中頃まで。ざっくり言えば、AppleIIが登場してからコモドールが倒産するまで。中学生の時、コモドール64のユーザーだった。日本では売れなかったので、どんな情報でも貴重だった。今でもコモドールという文字を見ると、反応する癖がついている。それがきっかけで、ホームコンピューターというジャンルを知った。アメリカだけのものだ。日本にそうしたカテゴリ分けはなかった。

PC98の全盛期を知っていると、市場において日本のパソコンは海外メーカーに食われたように感じがちだが、ホームコンピューター視点に立つと、80年代半ばから30年以上、日本メーカーが世界市場を独占していると考えられる。すなわちゲーム機市場だ。ファミコンがアメリカで発売されたのが1985年。以来、ゲーム機売り上げのトップは日本メーカーが独占している。PCマーケットとは比較にならぬほど圧倒的に。30年以上というのはすごい。自動車やカメラに匹敵する。「操作するもの」という点でこの三つは共通している。

昼、中華三昧にほうれん草とわかめを入れて食べる。おかゆが残っていたので、スープに入れて雑炊にした。午後、デスクトップPCの整理。ハードディスクの認識エラーは、ケーブルがしっかりはまっていないことが原因だった。ほっとする。いらないプログラムを消したり、Googleドライブに保管したりすると、画面がだいぶすっきりした。

夏に収穫したジャガイモの、最後に残った五個を蒸した。ポテトサラダにする予定。形が残る感じにつぶし、冷蔵庫にしまう。たまねぎはラッキョウ大に切ってマリネした。ポテトサラダにたまねぎのマリネはオレの鉄板レシピだが、マリネすると食感がきゅうり風になるので、そのくらいの大きさがいいんじゃないかと思った。今までは、過去マリネしなかった頃の癖で、スライス状に切っていた。

3時、走りに行く。善福寺川沿いに30分走り、同じコースを戻る。工事中のエリアが折り返し地点になった。往復8キロ。思いのほか沢山の汗をかいた。風呂に入り、5時過ぎに家を出て池袋へ。

東口の「もつ鍋帝王」で、なべさん、キク、なおえちゃんと飲む。公演中、なべさんとなおえちゃんがその店のことを話題にしていて、今度行きましょうということになったらしく、そこに便乗した。モツ鍋は、にらが円形に並べられ、真ん中ににんにくが盛られて旨かった。ホヤの塩辛も食べる。珍味。

キクとなおえちゃんは、来週オーヘンリー企画公演の本番だ。そのうちの一本は俺が書いたものだ。稽古の具合などを二人から聞く。キクは座頭の立場にあり、ストレスをためていた。

「火花」の話をし、なおえちゃんにYoutubeのピーチフラワーを勧める。

モツ鍋は大変旨かったが、1時間半で店を追い出された。外には待っている客もいた。人気店なのだろう。致し方ない。

向かいの「てけてけ」で飲みなおす。仕事を終えた千陽さん来る。キクとなおえちゃんの稽古話続きを聞く。

「ちゃろちゃろ(千陽)から、昔マグでやった女の子芝居の話聞きました」となおえちゃん。「面白そうですね」
マグ公演「六月の魔女」のことだ。
「あの、わけわかんない芝居ね」となべさん。「でもいまだに覚えてるってことはね、覚えてないよりはいいのかな」
「あれ、楽しかったなあ」千陽さんが言った。
「女性のお客様には評判良かったんだけど、男性客の受けは悪かったなあ」とオレ。「めっちゃくちゃ、罵倒する人がいたよ。アイドル芝居を期待してたみたいで。でも全然違うでしょ」
「違いますねえ」と千陽。

ゆるい芝居作りの例として、キクにマグ不足の話をする。彼はまだ見たことがないのだ。
「タイムマシンを作った博士と助手の話を考えたんだよ。でもいまだにやれなくて。以前、翼くんに博士をやってもらいたくて、誘ったことあるんだけど、彼、体を壊してしまって、出演できなくなったんだ」
「贅沢な肉の時ですか?」と千陽。
「そうそう、翼くんが出ていたら、上岡くんの助手とコンビで、タイムマシン芝居がをやれていたよ。きみ、とうとう完成したよ。なにがですか? タイムマシンだ。本当ですか? 見たまえ、と博士はブラジャーを出す。なんですかこれは? タイムマシンだ。どうやって使うんですか? 装着して、行きたい時代をセットするんだ、君やってみたまえ。私がですか? さあシャツを脱いで、こうして、ホックを止めて。博士、どうやって時代をセットするんです? 乳首のダイヤルをひねってろ。ひねりました。どうだ? 何も起きません。おかしいな、君、谷間は作ったか? 痩せ型なんで無理です。仕方ない、私が見本をみせよう貸したまえ、どれどれ、きみ、背中のホックを止めてくれるかな、ありがとう、でだ、脇肉をこう寄せて谷間を作ってダイヤルをつまむと…ここで博士はいきなり悶えて助手に抱きつく。ダイヤルをつまんだ瞬間、別の時代にタイムスリップして、長い長い冒険の果てに、やっと今の時代、つまり、ダイヤルを回した直後に戻ってきたんだ。嬉しさのあまり身悶えて、懐かしさのあまり抱きついてる。でも助手にはそんなことわからない。女装して乳首いじって感じて自分を襲ってきたのかと思ってる。博士は泣きながら、会いたかったとか言ってる。で、その短編は終わり。続いて上演する他の短編に、ブラジャー姿の博士が、いきなり登場しては消えるという演出をするんだ。時間を放浪中ということでね」

酒の席でプロットを話すと、面白いものが出来そうな気がするのは、いつものことだ。だかこの話は、考えたのは何年も前なのにいまだに忘れてないから、いずれやることになるんじゃないかと思う。胸に谷間が作れる男優が見つかれば。誰かいないか。色白のもち肌で、食べ物は飲み物とか言える奴。

11時に店を出る。コンビニでハムを買って帰宅。キッチンにガスヒーターを置いている。元栓はレンジのところにしかないのだが、そこから伸ばして使えば、暖房効率が飛躍的に上がりそう。しかし形状が違うため、アタッチメントを買ってこなくてはならない。

1時過ぎ就寝。