九州から四国へ

4時半に起きた。宿毛フェリーのサイトを見る。トップページには、台風のため欠航、再開は検討中というメッセージが出ていた。電話をしてみたが誰も出なかった。

5時過ぎにチェックアウトし宮崎駅へ。券売機で予約したチケットを買うためクレジットカードを入れると、予約がないというメッセージが出てきた。真夜中に予約したので、5時半まで反映されないらしかった。5時半を過ぎると予約内容が表示された。

缶コーヒーを買って電車を待ち、宿毛フェリーの情報を収集した。もし欠航したままだったら宇和島運輸に振り替えだが、渡ってからの交通手段を調べたところ、予定より遅くなってしまいそうだった。検察すればするほど情報が増え、結論は出なかった。少し不安になった。
特急が入ってきた。自由席はガラガラだった。宮崎駅を出てからベンチに未開封の缶コーヒーを忘れてきたことに気がついた。何たるドジ。幸先が悪い。

西村賢太の『人もいない春』を読む。表題作は、若い頃のバイト経験がモチーフとなっていた。
昨夜、歌舞伎町で飲んでいた時、『どうで死ぬ身の一踊り』を読んだ。処女作「墓前生活」が入っている。藤澤清造という私小説家に惹かれ、古くなった木の墓標をひきとり部屋に飾るまでになったことが書いてある。西村賢太の原点といっていい。機内で読み終えた。
『人もいない春』の表題作は、若い頃のバイト経験がモチーフになっていた。

8時過ぎに佐伯到着。

佐伯駅

よく晴れており、暑くなってきていた。フェリー乗り場は駅から歩いて10分ほどのところにあった。入り口は開いており、中から音楽が聞こえた。
宿毛フェリー

中に入ると、古いパチスロなどのゲーム機と、漫画がぎっしり詰まった本棚があった。待ち時間が長いのでそうしたものが置いてあるのだろう。客は一人もおらず、チケット売り場のシャッターは下りていて、Webにあったのと同じ、台風のため欠航という文句を印刷した紙が貼ってあった。
宿毛フェリー時刻表

外に出る。
宿毛フェリー乗り場

港に船は係留されていなかった。宿毛フェリーはおそらく一隻の船で運用していると思われた。台風が来る前に四国の宿毛巷に停泊したままになっているとすれば、再開は宿毛から佐伯への便になるはずだ。今日の正午に佐伯を出る便は、その前の便が再開され、宿毛から佐伯に向かってないといけない。つまり、乗りたかったその便には絶対に乗れないということだ。

佐伯駅にとって返した。臼杵までのチケットを買った。9時過ぎの特急だった。
電車が来るのを待つ間、宇和島運輸の時刻表を調べた。11時50分に臼杵を出て14時頃に八幡浜に着く便に乗れそうだった。しかし八幡浜から最終目的の中村まではバスを乗り継いでいかなくてはならず、中村に着くのは19時40分頃になりそうだった。駅前のレンタカーで車を借りることになっており、その時刻は18時だった。中村のホテルのチェックイン時刻は19時にしていた。どちらも間に合わない。

とりあえずレンタカーに電話をして、時間を変更してもらおうと思った。ホテルはそのあとでもいい。

30分ほどで臼杵に着いた。すっかり暑くなっていた。
臼杵駅

フェリー乗り場までの道は炎天下で、日差しを遮るものがまったくなかった。
臼杵港湾地区

フェリー乗り場のチケット売り場は開いていたが、カーテンがしまっていて、11時35分の便は10時半にチケットを発売するというボードが立ててあった。
臼杵フェリーチケット売り場

11時35分?

見ると、宇和島運輸ではなく、オレンジフェリーという会社の便だった。そういうのもあったのか。その便に乗れば到着時間が20分早くなり、四国に渡ってからの乗り継ぎ時間を短縮できる。

10時半にカーテンがあいた。すぐにチケットを買った。乗船までの時間、乗り場の近くにある「臼杵みなと市場」の食堂で、遅い朝食をとることにした。
臼杵みなと市場

ふぐの天丼を食べた。美味しかったが、急いで食べないといけないのが残念だった。
ふぐの天丼

乗り場に戻ると、ちょうど船が着くところだった。

乗船すると、想像していたよりも中が立派なので戸惑った。二等船室は雑魚寝スタイル以外に、展望席や、でかいテレビを見ながら座るシート席があった。船内にはゲーム機、マッサージチェア、Wi-Fiとモバイル充電コンセント、軽食が食べられるお店、飲み物の自販機などがあった。

テレビ部屋の席に座り、トランクの上に足を乗せ、しばらくウトウトしていたら、いつの間にか出港していた。

30分くらい経つと船が大きく揺れ始めた。豊後水道の真ん中を進んでいたようで、窓から陸地は確認できなかった。
席を立ち、船内をうろうろする。手すりにつかまらないとまっすぐ進めないほど揺れていたが、酔いはまったくなかった。自販機コーナーで缶ビールを買って飲んだ。いい気分だった。
船室とビール

自席に戻りテレビを見ると、外国の空港に置いてあるピアノに仕掛けた定点カメラの映像が流れていた。色々な人が自由に弾いていた。ピアノはいいなあと思った。

午後2時過ぎに八幡浜港へ着いた。乗りたいバスは八幡浜駅を14時15分に出発する予定だった。港から駅までは2キロあるので、タクシーを使うつもりで乗り場へ走った。
最後尾のタクシーに男性客が乗り込もうとしていた。「相乗りしていいですか!」別の男性が言った。「どうぞ」先に乗った男性が答えた。この流れに乗っからないといけない。声をかけた。「僕も…」「私もいいですか!」小柄なおばちゃんが先に声をかけた。急いで続ける。「…いいですか?」男性二人は「もちろん」と答ハモって答えた。タクシーはおばちゃんと男三人の相乗りになった。

運転手は駅まで近道をしてくれた。料金は一人200円ずつで足りた。JR予讃線が七月の豪雨で運休になっているため、八幡浜から宇和島まで代行バスが走っていた。

14時10分に八幡浜駅に着いた。バスは駅前に止まっていてすぐ目についた。

1時間ほどバスに揺られ、宇和島に着いた。
宇和島駅

ここから先は路線バスを使って宿毛駅に向かわないといけない。乗り継ぎの待ち時間はほとんどなく、JRのバスを降りると、すぐに宿毛行きのバスがきた。

路線バスに2時間揺られた。愛媛県の西側を海岸に沿って高知に向かい、土佐くろしお鉄道の宿毛駅まで運行しているのだが、運賃が1800円もした。路線バスでその運賃になるのは、あまり聞いたことがない。

バスが高知県に入ると空が曇ってきた。時々雨も降った。

5時過ぎに宿毛に着いた。空は曇っていた。中村に行く電車は1時間後に発車する予定だったが、レンタカーやホテルのチェックインには十分間に合う時間だった。最後に帳尻が合ったと思い、ほっとした。
宿毛駅

駅の待合室で『人もいない春』読了。ネズミが主人公の寓話みたいな作品が入っていた。文体は同じだが新鮮に感じた。

6時40分過ぎに中村駅に着いた。もし宇和島運輸のフェリーに乗っていたら、乗り継ぎの関係で1時間遅い到着になっていたはずだ。
駅前のレンタカーで車を借り、すぐ近くにあるホテルにチェックインした。19時ちょうどだった。

部屋に荷物を置き、物産センター敷地内にある「いちもん家」で夕食をとった。
まず生ビールを飲み、
お疲れ生中

ウツボの唐揚げ
ウツボの唐揚げ

カツオのフライ、
カツオのフライ

あと鶏の唐揚げを頼んだ。ご飯ものは欲しくなかった。

ビールは一杯だけにした。食べ終わってから、隣のファミリーマートで秋味とハイボールとナッツを買った。ホテルに戻り、大浴場のサウナに入り、汗をたっぷり流した。部屋に戻り秋味を飲んだ。一日中、乗り物に乗り続けだったが、ともあれ四国に渡れて良かった。

12時就寝。

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