『演劇プロデューサーという仕事』読む

細川展裕『演劇プロデューサーという仕事』読む。読み始めたら止まらなくなり、最後まで一息に読んだ。
第三舞台や新感線がなぜ売れたのか。その答えは本をめくった最初の右側袖部分に「『縁』と『運』、以上!」と結論が書いてある。残りの300ページ以上は細川さんの自伝というわけだ。
この自伝部分で繰り返し述べられているのは、成功から逆算して法則を導くことの疑問だった。本書の企画を成立させている概念の否定である。
もちろん、どのような苦労をしてお客さんを呼んできたのかは時代順に書かれてある。しかしそれは、その都度考えて実行してきた記録であり、特別なことをしてきたわけではないとわかる。
面白かったところを箇条書きにしてみた。

・武勇伝ではないこと
・サクセスストーリーではないこと
・苦労話ではないこと
・暴露本ではないこと
・他人の悪口を書かないこと

他人の悪口を書かないことについては徹底していた。
サードステージ社長を辞任し、新感線を手がけるようになった頃を回想している部分も、ストレスで鼻血が止まらなくなる経験をしていながら誰一人責めていない。自分に責任があると書きながら、被害者意識もまったく感じさせない。
並外れた平常心だと思った。細川さんがそういう人であったから、手がけた舞台は成功したのではないか。

8時過ぎに起きてから走ろうと思っていたが、昼に腱トレをしてすぐ、倦怠感と眠気に襲われた。2時過ぎ、服を着たまま横になると、5時まで寝てしまった。春眠の眠気だろうか。

三遊亭円丈『師匠、ご乱心!』読む。
三遊亭圓生一門の落語協会脱退事件の顛末を描いた本。
細川さんの本とは逆に、悪口が実名でたっぷり書かれていた。主な対象は師匠の圓生と兄弟子の圓楽。特に圓楽への悪口はしつこい。要するに馬が合わないということではないかと思った。
面白かったが、円丈さんはいささか感情的過ぎるように思えた。三遊亭一門の問題を告発するというよりは、胸の内をすっとさせる目的で書いたものというふうに思えてしまう。