失われた物欲

仕事、今週はやはり佳境だなと思う。なぜなら今日も30分ちょっとほど残業したからだ。

自分が残業をするのは、キリの良さが定時を超えてしまう時であるが、今週はそれが続いている。節子や秀子を作った時でさえ、残業することはなかったので、今週の作業量は、たぶん、ただただ、多いのだろう。しかしその多さは、自分にしかわからない。進捗度合いも同様。いつの間にか開通している地下鉄工事みたいなものだ。

休憩時間、FP-1100のことを検索する。1982年に発売されたCASIOのパソコンだ。なぜ検索したのかはわからない。気まぐれとしか言いようがない。

このパソコンは、1982年にオープンしたジャスコ葛西店のパソコン売り場に陳列されていた。キーボードを押すと、ピッピッ…という音を出すようになっていたと思う。本体とキーボード分離型で、BASICではかなり高度なグラフィック機能をサポートしていたのだが、遅さと、音楽機能のなさで、売れなかった。

強烈に覚えているのは、1983年に夏だか秋に、秋葉原の九十九電機でこのパソコンが29800円でたたき売りされていたことである。もちろん、ディスプレイがないと使えないので、RFモジュレータなども買わないといけなかったので、そういうのと合わせれば5万くらいはしたのだろうが。

でも、当時まだパソコンを持っていなかったオレは、たとえたたき売りされた売れ残りパソコンでも、欲しい! と思った。

当時はFM-7が欲しくて、それ関係の雑誌や本を日々熟読していた。そして、それゆえに視力が落ち、近視になってしまった。でも、まだアルバイトができる年齢ではなかったし、小遣い銭をためるだけではとてもFM-7は買えなかったろう。もし買っていたら、その後の人生は今と違っていたことは間違いない。

昨日、母と『物欲』について雑談した時、昔はあった、という話をした。FM-7はまさにその対象だった。
他にも欲しいものはたくさんあった。書き切れないほどだ。

その物欲が、もうなくなっている。だから、シーバス釣り用のロッドやリールも、欲しいものとして食指が動かない。どうでもいいなんて思っていない。だが、モノとしての魅力が感じられず、ときめかない。

夕方、帰宅時に電車の中で、MSXやハイドライドのことなどを検索する。昔の8ビットパソコンのことを検索するのは、時々やることだが、それは自分の失われた物欲を探す行為なのかもしれない。ハイドライドはトミタくんというクラスメートが盛んに「面白い」と言っていた。彼はシャープのX-1 turboを持っていた。ものすごく羨ましかった。

夜、インベンション練習とセーター編み。12月のシーバス釣り動画を見る。