『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』観劇

朝、8時頃に起きて、案の定胃が重かったので、朝飯は食べず。

昼まで日記を書く。

昼飯に、ご飯、唐揚げ、きゅうりのぬか漬け。

午後、『潮騒』を少し稽古してから、リュックに在宅作業用のPCなどを入れ、4時半過ぎに家を出る。新宿へ。4時半になると外は薄暗かった。曇りだったからかもしれない。日が暮れるの、こんなに早かったっけ? と思った。

新宿へ。紀伊國屋ホールで、『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』二本立て公演を観る。夏前くらいに情報を知り、吉岡里帆がローラをやるだと? それは見なくては! と思い、チケット発売日にすぐ購入したのだが、『消えなさいローラ』は出演者が日替わりで、吉岡里帆出演回は瞬く間に残りわずかになっていた。手に入れた席はU列。後ろから2番目だった。

上演時間は、『ガラスの動物園』が2時間半で、『消えなさいローラ』が1時間だった。

『ガラスの動物園』は、渡辺えりさんの思い入れがある分だけ、上演時間長くなっていたと思う。戯曲のどこが一番重要な場面かというと、後半のジムとローラの場面だろう。自分に自信がなく、引きこもりがちで、ガラス細工の動物を集めることが唯一の趣味という女の子が、ほんの一瞬だけ未来に希望を持ち、美しさに光輝く場面。だが、その場面になるまで2時間くらいかかったため、少々待ちくたびれてしまった。

にも関わらず、その場面は実に良かった。ローラの心が少しずつ打ち解けていき、その個性的な魅力にジムに気づいていき、幸せの絶頂とも言える瞬間の後、残酷な現実があり、ローラは、自分の持っている一角獣のガラス細工を、今日の記念にといって、そっとジムに渡す。

ものすごく切なかった。うるっときた。そういう場面なのだけど、外していなかった。

左に座っていた30代くらいの男客二人組は、一本目で疲労困憊したようで、「でも可愛かったね」「うん、それそれれそしてね」などと言いながら、帰ってしまった。

『消えなさいローラ』は、別役実作の後日談で、その後のローラと母はどうしたのかという芝居。吉岡里帆は、母のふりをする芝居と、ローラ本人の芝居を、小気味よく演じ分けていた。

特に、ローラ本人の時、お茶を振る舞うシーンの所作と表情、淀みない台詞回しが見事だった。ものすごくしっかり稽古していないとできないはずだ。台詞の言い回しには変な癖がついておらず、センテンスごとに真心を込めて発していた。ラスト、男が伝えようとしていた真実から逃げるように絶叫して去るところも良かった。

『ガラスの動物園』の吉岡里帆は、良かったけれども予想の範囲内だった。しかし『消えなさいローラ』では、別役作品の役を、狙い過たず正面から演じきっているところにびっくり仰天した。ああも達者に演じるとはまったく予想していなかった。130キロ台の変化球で丁寧にコーナーをついてくるだろうと思って打席に立ったら、165キロのストレートを投げられたような驚きだ。

紀伊國屋ホールのあとは山形県と大阪で公演をして終わるらしいが、そのあと、配信とかやらないのだろうか? これはもう一度見たい。

ものすごく久しぶりに、いい芝居を見て熱に浮かされたようになった。

西葛西へ。南口のマックで倍ハンバーガーと倍フィレオフィッシュを買って、実家帰宅。

Xなどで、『消えなさいローラ』の評判を検索するが、ヒットする件数が少なかった。もったいない。

こりっちに、誰か感想など書いていないかと思ってアクセスしてみたら、なんと口コミ0件だった。

今、劇評というものは、どこで読めるのだろう?