『息吹』読了

7時半起き。朝飯に梅流し食べる。いしるを味つけに使ったが、非常に薄くしたので、丼一杯食べても塩分的には大丈夫そうだった。

午前中、エージェントとの面談に参加する。いつもはMさんだけと話すのだが、今日はK氏も画面に現れたので少しびっくりした。たぶん、先月やめたヨネトシさん絡みなのだろう。

いつものように近況を語り、所見を述べ、今月は現場に行く回数を増やしていることを伝えた。

昼、梅流し食べる。特に美味しいわけではないが、ファスティング明けだと、ビバ固形物! というテンションになっているので、これだけで満足できる。

テッド・チャン『息吹』読了。非常に格調高いSF短編集だった。

以前読んだテッド・チャンの作品は、去年の1月に読んだ『あなたの人生の物語』だった。この時は、カート・ヴォネガット作品と似ている部分を少々意識した。しかしヴォネガットにある笑い飛ばすような諧謔精神はあまり感じず、アイディアは類似しているものの、極めて真摯に物語化しているなあと思ったものだ。

今回も、真摯に物語化している印象は変わらなかった。また、ヴォネガットとの類似点はまったく感じなかった。

冒頭作の「商人と錬金術師の門」と、最後に収録されている「不安は自由のめまい」が印象に残った。どちらも、過去は決して変えられないという事実をもとに、人生における取り返しのつかなさがテーマになっている。「不安は自由のめまい」の主人公が、薬物中毒者回復支援グループの集まりで語る台詞が感動的だった。

テッド・チャンの物語造形力は非凡極まりないが、そちらよりも、精神の根っこに、信じるべきものを持っている人の揺るぎなさがあるように感じる。日本人として、それを羨ましいと思う。そういう揺るぎなさを持っているとはっきり思える同時代の日本人が書いた小説を読むことが、年々少なくなっている。