ピザを食べに旧友と

朝昼とモツライスを食べ、こたつで『騎士団長殺し』第2部を読んでは閉じる。
一気に読んでしまうのを防ぐため、あえて閉じる。
閉じてから他の本をめくったりスマホを見たりノートパソコンを開いたりする。
落ち着かない時の行動なのに気持ちは落ち着いていた。不思議だった。

夕方5時に出かける。
外は暖かかった。
大江戸線で新御徒町へ。
6時に黒田さんのお店でピザを食べる予定だったが、20分ほど時間があったので、街をぶらっと散歩した。

清洲橋通りを歩いていると、壁面に室外機がボコボコついている集合住宅があった。
ベランダがないからだろう。
既視感のある眺めだった。
5才の時、眼に炎症ができて、江東区北砂の眼科に通った。
その時、バスから見た眺めにすごく似ていた。
当時下町にはベランダなしの集合住宅があちこちに建っていたのだ。

都営台東小島アパートというらしい。
建てられたのは1964年。オリンピックの年だ。
当時は最先端の、おそらく若者の憧れ団地だったのではないか。
小津安二郎「秋刀魚の味」の光景だ。

中に入ってみたかったが、6時に浅香と待ち合わせしているので、次来た時にまわし、黒田さんのお店へ。
浅香、先に来ていた。
黒田さんは、ニヤニヤしながら「いらっしゃいませ」と言った。

黒トリュフとアンチョビのタルトゥファータピザを食べる。
今まで食べたピザの中では、一番うまかった。
タルトゥファータというのはトリュフを使った調味料みたいなものらしいのだが、それといっしょにはちみつがさりげなく塗られているのが実に好みだった。
「へっへっへ」
と、仕事明けの追いはぎみたいな声を出しつつビールを飲んだ。

仕事の話を浅香にしたら、思いのほか言葉に熱がこもってしまった。

一昨年暮れに退院してから、10キロ以上痩せたとのこと。
自転車乗ったらどうかと勧めた。
走るより膝には優しそうな気がする。

お客さんで一杯になる時間もなんとなく座り続け、10時まで居続けた。
店を出る時浅香が、
「今度はお休みの時に飲みましょう」
と黒田さんに言った。

新御徒町駅前で浅香と別れ、地下鉄で帰宅。

『騎士団長殺し』第2部。
「顔なが」の場面で、笑ってしまった。

「第四学区」「イシバシ・レシピ」録画観る。
つくづくいい番組だと思う。
石橋貴明の喋りは、場面の描写力がずば抜けている。
興が乗ると、実際に動いて場面を再現する。
その動作の一挙手一投足が、大きくてキレがあり、素晴らしい。