感動三連発

8時半起き。セブンでかき揚げうどんを買ってきて、蕎麦をすこし足して食べる。11時から走りに行く。最高気温5度。コースは昨日と同じく善福寺川沿い。片道30分走ると、昨日より先に行けた。同じコースを帰ると2分以上時間が余ったので、家の近所をちびくろサンボのトラみたいにぐるぐる回る。1時間で9.5キロだった。行きは6分台、帰りは5分台だったと思う。早く走る必要はない。そこで焦ってはいけないと思っている。

シャワーを浴びてから阿佐ヶ谷へ。大江戸寿司で昼飯。客は少ないのに忙しそうだった。いつもは食べない、いかを食べた。岡本かの子「鮨」を最近読み返したのが頭に残っていたからだ。あの話で、息子が最初に食べたネタが、イカだった。

TSUTAYAでDVDを借りる。どのレンタル店もそうだが、面積に比して、おいてある映画の作品数は少ない。マニアックな映画を100本置くより、回転の良い作品を10本ずつ10作置いた方が、費用対効果は高いけど、長い目で見れば、育つ映画ファンの数は少なくなる。ネットの見放題システムなら、そんなこと気にしなくてもいいのだろうが。CDやDVDというメディアは、場所を取るがゆえに、優れた作品から人を遠ざけることになっているかもしれない。音楽が、ダウンロード販売から聞き邦題へ転換しつつあるように、映画も早くそうなって欲しい。

新宿に寄ってから、8時に実家へ。うどんを食べ、紅白を見る。2017年は記憶に残るヒット曲がほとんどない。記憶に残る曲はあるのだけど、世間的にはヒット曲じゃない。なので、もっぱらパフォーマンスを楽しむ。司会のウッチャンはにこやかで、自然な親切さにあふれ、大役をこなしている印象がまったくなかった。番組にはピリピリした感じがまったくなく、みんながのびのびやっているように見えた。あんなふうに紅白の司会をこなした人は、過去30年ひとりもいなかった。2018年もやればいいのに。

紅白と並行して、AbemaTVで朝青龍の相撲を見る。ちょうど4戦目、柔術の選手とやるところだった。体重差もあり、簡単に投げていた。5戦目はプロレスラーのスーパー・ササダンゴ・マシンで、対戦前の朝青龍対策のプレゼンが面白かった。彼は試合も大健闘していた。

紅白は、椎名林檎とトータス松本は今ひとつだった。というより、延々とハモる難しい曲なので、生で歌えたことに感心した。Perfumeはテクノロジー感を前面には出さず、屋上ロケ。寒そうだった。安室奈美恵は、最高のコンディションで妥協なく歌い上げていて、理屈抜きに心打たれた。とんがった演出や、強烈な印象を受けた場面は、じつはそれほどなかった。それでいて、こういうのでもいいじゃんと思えたのは、やはりウッチャンの作る雰囲気が心地よかったからだと思う。

安室奈美恵の出番が終わってからは、ずっと朝青龍を見た。ボブ・サップは試合前の会見から、プロレスのアングルがあるかのごとく行動していた。正直、あちゃー、と思っていた。試合は朝青龍が危なげなく勝った。インタビューでボブ・サップは意味不明のことを口走り、カットされていた。友人が誘拐されたとかなんとか。サップのこれらの言動は、ステロイド摂取によるものだろうか?

朝青龍と琴光喜の対戦は、大いに盛り上がった。二人は角界から終われるように引退した身。それが、本当の意味での引退相撲を取っているような、すがすがしさがあった。たぶん、引退相撲をとらせるというコンセプトは、当初はなかったと思う。朝青龍を押し出したら1000万という単純な企画だった。それが、感動的な結末になった。泣かせの演出はなかったが、取り組みが終わって肩を組む二人を見ていたら、涙腺がゆるんだ。相撲愛を語る朝青龍は格好良かった。

年が明けていた。着替えて近所の小さい稲荷神社へ行き初詣をする。じいさん連中が4人たき火をしていた。挨拶されたので「おめでとうございます」と返した。家に戻り、こたつで本を読む。大島武・大島新『君たちはなぜ、起こらないのか』読了。映画監督大島渚の二人の息子が、父のさまざまなエピソードをまとめた本。単に、父は優しい人だったという、死者を持ち上げる内容ではなく、肉親ならではの批判もしっかりとやっている。それでも、陰のある感じはなく、息子というものは父に対して、そのくらいの反感は持って当然だし、なかったらむしろ不自然だと、思わされてしまった。大島渚は教育者なのだと思う。その資質がとても強い人だ。それも、旧制中学の熱血教師。日曜には生徒達を自分の家に招いて、ニコニコしながら、文学や映画の話をしたり、カメラを見せてあげたりするような先生。

息子の小学校の卒業式で、父母代表として読んだ挨拶文が収録されている。感動的な内容だった。ここまでまっすぐに、人に感謝することができる人は、そんなにいない。

2017年大晦日11時から、2018年元旦午前2時への3時間で、安室奈美恵に感動し、朝青龍に感動し、大島渚に感動した。短いあいだに3回も感動し、すこし休ませてという気持ちになった。2時半就寝。