黒澤明『天国と地獄』観る。
全部観たのは4年ぶりくらいか?
舞台劇のように延々と続く権藤邸のシーン。
特急こだま号の身代金受け渡しを経て、わずかな手がかりから一歩一歩犯人を追いつめる後半シーン。
前半と後半で、別の映画のように演出が変わり、2時間以上飽きさせない。
こういう映画を観ると、面白さとは結局飽きさせないことなのだなあと思う。
例によってうまい役者がぞろぞろ出ている。
入念に行われたリハーサルのため、演技は自然きわまりない。
秘書・河西を演じる三橋達也が、地味に渋い。
三船敏郎に、
「河西、ハイヤーで行け」
と言われてぼそりと返事をするのだけど、それだけで重役と秘書の日頃の感じがうかがえてしまう。
あのぼそりとした感じはなかなかできないと思う。
個性的な役者がちょろっと出ては、を披露する感がある。
職人気質が服を着ているようなたたずまいを見せる東野英治郎や、煤まみれでぼやきまくる藤原釜足が出てくると、思わずにやりとしたくなる。
債権者の一人に山茶花究がいるのだけど、昔ビデオで借りて見た時は画像が荒くて誰だかわからなかった。
今日気づいた。
滑舌がいい。
集中して見たためか、重々しいラストシーンの余韻を引きずったまま2時間くらいぼーっとしてしまった。