パン

朝、思いついてパンを焼いた。
昨日ショップ99でドライイーストを買ったのだ。

なぜ買ったのかというと、昨年も買ったイーストを捨ててしまったからだ。
捨てたのは、使用期限を大幅に過ぎてしまったからだ。
以来なんとなく、多くの命をムダにしてしまったような気がしていた。

しかし、うちには薄力粉しかなかった。
パンやうどんは強力粉で作るものだ。
グルテンの強さがないと、伸びるようなコシがでない。

が、かまうことはない。
俺が作り俺が食べるのだ。
薄力粉を使って、イーストで発酵させた。

こねられた生地をボールに入れて1時間。
生地はおよそ2倍に膨らんでいる。
それを再びこね、形をととのえて、パウンドケーキの型に入れる。
そして再び発酵させる。
型から生地がはみ出てきたら、オーブンレンジのスイッチを190度に切り替える。

俺はイーストに、小麦粉の大地を与え、砂糖という食料を与えた。
彼らは暮らしやすい環境で呼吸し膨張し、平和な小世界を築いた。
俺はスイッチ一つで、イースト世界に住む住人を一匹残らず皆殺しにした。

「お前らがなぜ生まれてきたのか、それはこの俺が気まぐれに作るパンのためだ」

しかしこれはひょっとすると、俺たちも同じなんじゃないだろうか。
この宇宙は、別の次元にいる何者かが気まぐれに発酵させたパン生地みたいなものなんじゃないだろうか。
そして何者かの感じる60分が、我々にとって60億年なんじゃないだろうか。

焼き上がったパンは薄力粉ということもあり、気泡が大きかった。
だがまあ、それなりにおいしかった。

『ファミリーアフェア』のビデオ編集をした。
DVテープが3本あり、それぞれアングルが違うので、注意してつなげれば結構見やすくなりそうだ。
しかし1本はゲネプロのものであり、舞台袖の脚立がしっかりと映っているので、ちょっと格好悪いかもしれない。
8ミリビデオのダビングを業者に依頼しており、その中にさらに別アングルのテープがあるかもしれない。
まあ、それが使えたら、あとでまた追加編集すればよいだろう。

編集作業は時間がかかる。
楽しいことは楽しいのだが。

夜、冷やし中華を食べる。
シャワーを浴び一息ついてから、スイカを食べた。
夏、接近中。