悪魔から魔界へ

夕方まではひたすら眠気との戦いだった。
何を考えていたのかも、何を食べたのかもよく覚えていない。
起きてはいながら、頭は活動を制限することで勝手に休息をとっていたようだ。

だから夕方になると案外目が冴えてきて、すぐに寝ようという気にはなれなかった。

『悪魔のようなあいつ』第7話と第8話を見た。
三億円事件の再現シーンで、スタジオから野外ロケになり、映像もビデオからフィルムになる。
犯行に使う白バイや小道具を用意していく場面が緻密に描かれており、『太陽を盗んだ男』の原爆作成シーンを彷彿とさせる。

つまり第7話はゴジ色の強い回ともいえ、悪魔のように妖しい青年ジュリーが、ある意味で男性的に描かれている。
ヌード写真がべたべた貼られた独身寮での生活ぶりが、案外なじんで見えるところに、<素材>としてのジュリーの面白さがある。

続けざまに『魔界転生』を見る。
『太陽を盗んだ男』からおよそ1年半後の映画。

「おお神よ!」
のような詠嘆調の台詞が多いため、ジュリーの声の良さがよくわかる。
低いのではなくて、太いのだ。
ラストの笑い声など、実に素晴らしい。

興行的には元気のあった当時の角川映画だったため、結構良かったんじゃないだろうか。
小学生の頃、真似したものだ。
監督は深作欣二。