ショーケンとジュリー

萩原健一『ショーケン』読了。

黒澤明『影武者』出演時のエピソードが面白い。
怖い監督とやんちゃな役者といった感じ。
辛くて、
(やってられねえ)
と思いつつも、力量を否定してはいない。
ショーケンも、創造者だからかもしれない。

創造するものは、役にほかならず、年を重ねるに従って求道者の趣を帯びてくる。
『元禄繚乱』で綱吉を演じた頃は、自宅でする稽古を見て別れた奥さんが、
「怖い」
と言ったそうな。

思うにショーケンは、役に近づくあまり、役が持っている闇の部分までも自分の中に取り込んでしまったのではないだろうか。

闇と同化できればその役と完全に一体化出来る。
だがそれは、素の萩原健一にも大きな影響を及ぼす。

与えられた大きな役が綱吉でなければ、事件は起きなかったのではないだろうか。

Youtubeで、1985年頃のライブ映像がアップされていた。
えらく格好良かった。
かっこわるく歌うかっこよさと言おうか。
歌いながら、物語を作っているようなスタイルだった。
歌詞に寄り添い、組み伏せ、突き飛ばしたかと思うと抱きしめ、聞き手は歌っているショーケンの感情に、なすがまま翻弄される。

井上堯之さんが、長年一緒に仕事をしたジュリーではなく、ショーケンの歌を非常に誉めていた理由が、なんとなくわかった。

ただしショーケンは、
「歌では沢田にかなわない」
「ライバルは、沢田研二です」
と、本書で語っているが。

夜、NHKの「SONGS」を見る。
沢田研二が7年ぶりに歌番組に出演。

「ロックンロールマーチ」
「我が窮状」
「君をのせて」
「勝手にしやがれ」

など聴く。

本来、ロックにこだわっている人だが、懐メロを聴く限り<歌謡曲の人>という印象が拭えない。
「勝手にしやがれ」を聴いてそう思った。

新しい曲を歌っているジュリーは溌剌としていた。
曲もシンプルなロックで良い。

ドーム公演が12月にある。
一応、申し込みはしているが、抽選だという。

当たれば嬉しいが、周りのお姉さま方が少し恐ろしい。