夕方、西荻へ。
西荻での稽古は今日が最後。
3話は台詞の入り優先とはいえ、平行して空気感を作る。
出演者が客演さんとオレだったら、空気感が必要なシーンには出来なかっただろう。
なんらかの演劇的たくらみや、物語的な工夫が必要だったろう。
3話でマミ演じる友梨のやることは、カレーを作り、無駄話をし、カレーが焦げたら悲しがる。
それだけだ。
傍らには常に彼氏の克っつあんがいて、同じくカレーを作り、無駄話をしている。
克っつあんと友梨は仲がよいが、べたべたした感じではない。
無駄話を延々続けられる仲の良さだ。
克っつあんはカレーが焦げることよりも、カレーが焦げてショックを受ける友梨が心配だ。
(そんなに食いたかったのか?)
とは、さすがに思わない。そこまでバカではない。
一緒にカレーを作るということが、友梨にとってはとても大切なことで、そのカレーが焦げるのは、とても悲しいことだ。
本能で、それを察している。
察することができるから、二人はつきあえたのだろう。
克彦としても、時々バカな冗談をやらかしても、つきあってくれる友梨は話しやすい相手だ。
お互い相手のことを、
(バカだなあ)
と思いつつ、そう思う自分が嬉しい。
これが3話のいちゃいちゃの正体だろう。
こうなってくると面白いもので、現実の鶴マミのしんどさが、仕草や声や表情から伝わってくる。
しんどいだろうな、と思う。
一昨日通しをした時は、無理に笑顔を作っている印象がお互いにあったが、昨日今日と回を重ねる毎に、リラックスできるようになってきた。
あと3日の稽古で、どこまでリラックスできるか。
自分の部屋にいるような心地になれるか。
少なくとも自分が先にその境地に達すれば、その落ち着きは鶴マミにいい効果を及ぼすはずだ。
もちろん逆もある。
だいぶ、見えてきたなあと思う。
あと少しだ。