人里離れた奈良田温泉

 仕事を休み、温泉に行った。
山梨県の奈良田というところにある秘湯で、タダ券による宿泊である。

とりあえず、人跡未踏に近いほどの秘湯だというので、電車ではなくレンタカーを借りた。
チェックインが5時までだったので、ゆっくり時間を使えるということもあり、高速道路を使わず一般道のみで山梨へ。

平日の甲州街道は空いており、3時間ほどで甲府へ。
市内でカツ卵とじ定食を食う。
安くてうまくてボリュームあり。

その後、国道52号線を富士川沿いに南下。
一度、右折してから道を間違えて、狭い山道に入り込んでしまい、来た道を5キロほど戻った地点に出てしまった。
再度チャレンジし、南アルプス林道を登る。
高度がどんどんあがり、耳がツーンとなる。
日没と競争するようにして、宿に到着した。

とりあえず、温泉につかる。
ぬるぬるしており、荒れた肌にいかにも良さそうといった感じ。

夕食は、宿の人の解説つき。
鹿の刺身、猪鍋、湯葉の刺身、鮎の塩焼き、こんにゃくの刺身。
山の幸ばかり。

極めつけは、猟をやっているという主人が、その日にしとめた鹿のレバー刺。
レバーの概念が変わるほどの衝撃を受けた。

鹿の肉は臭みがほとんどなく、極めた上品な味だった。
何でも、熊笹のみを食しているために、肉が匂わないのだそうな。

食事の後は、もはや温泉しかない。
露天風呂に入ったのだが、あまりにも静かなため、茂みから今にも熊が這い出してきそうで怖かった。
静けさを維持するために、団体の客は断っているのだという。
こんなところにこもってマグネシウムリボンの台本を書いたら、俺、沈黙劇を書いちゃうかも。

くつろぐ私