寒さ対策

 朝から結構な雨が降っていた。
 火曜日もそういえば朝から結構な雨が降っていた。
 12月に入って、1週間の間に2日も雨の日があるのは珍しい。

 通販の広告を見ていたら、電池で温まるグローブの記事があった。
 以前、買おうと思ったことがある。
 吉祥寺のドンキホーテに売っていたのだ。

 何のために使うかといえば、当時やっていたバイク便のグローブに使うのである。
 何しろ冬のバイク便の寒さときたら、ちょっとやそっとの防寒装備では対応できない。
 当然、いくら高いグローブを装備しても、いつの間にか指先はかじかみ、ボールペンを持つ手は震えた。
 体はまず、末端から凍えはじめるのだ。

 そんなわけで、電池で暖めるグローブは、非常に魅力的な商品に思えたのだが、結局買わなかったのだった。
 なぜなら、単3電池4本で5時間しかもたないからなのだ。
 これでは、1日の仕事で使い切ってしまい、月20日も働けば、使う電池は80本だ。
 経済的とは言えない。

 結局、ネックウォーマーを巻き、お腹と背中は貼り付け式カイロで武装し、下はオーバーパンツを履くという作戦で冬を乗り切ったものだ。
 足先、指先はいつも冷たかった。

 靴底に貼り付けるタイプのカイロをお店で見つけて試したこともあった。
 しかし、アレは地獄のように熱いのだ。
 バイクに乗って走っているから脱げないし、しかも密着している。
 足の裏は第2の心臓と言われるくらいつぼが密集しているというが、靴底カイロはまさに、つぼに対する無差別灸であった。

 徒歩と電車が主な移動手段となった現在、気温が下がっても薄着である。
 下着、シャツ、上着の3枚でも、まだ大丈夫だ。
 もともと暑がりなのだ。

 昼、どこで飯を食おうか考えながら兜町方面に向かってぶらぶら歩いていたら、首都高速のガード下にある駐車場に接して、「千代田グリル」という食堂を発見した。
 「グリル」という言葉の響きに誘われて中に入ってみると、独身寮の食堂みたいなお店だった。
 厨房にはなぜか一人だけ、きちんとした格好をしたコックがいた。
 それ以外の店員はみんなエプロンをつけたおばちゃん。
 値段は安く、味噌汁は出汁がきいてなかった。

千代田グリル

 夜、妹から電話があり、父が怪我をしたという。
 道で転んで、頭を切ってしまったらしい。
 病院にいる母に連絡してみると、酔っ払って転んだらしいとのこと。
 動脈を切ったというからかなりの怪我のはずだが、幸い交番が近くにあり、すぐに救急車が来てくれたために、輸血することもなく傷口の縫合を終え、入院することもなくうちに帰ったとのこと。
 本人はまだ酔っ払っていて、歌を歌いながら寝てしまったらしい。