悪夢

 外は雨が降ったり、やんだりしていた。
 部屋の中で、電気をつけずに、外からの明かりだけで、本を読んだり、コーヒーを飲んだりしていた。

 雨は降っていたけれど、昼の間は妙に蒸し暑く、ちょっと動くと汗をかいた。
 例えば雨がやんだ隙に、自転車でドンキホーテなんかに買い物しに行き、帰ってくるとシャツは汗びっしょりになっていた。

 することがないわけではなかった。
 それなのに、時間が流れ去っていくのを、コーヒーを飲みつつ、また、ビスケットなんぞをつまみつつ、ただ眺めていただけの一日だったから、普段の3倍くらい一日が長く感じられた。

 そういえば明け方、とてもおっかない夢を見て、久しぶりに自分の悲鳴で目を覚ました。
 すでに死んだはずの老婆が、仮面をつけてうろうろしている夢だ。
 死んでいることを知っているのは俺だけで、他の皆は仮面をつけたその老婆を、生きていると思っているのだ。
 老婆がこっちを見ながらゆっくり仮面をはずそうとする時、たまらなくなって悲鳴をあげてしまった。