バスローブを着て芝居に出た過去

 なぜか執念深く睡眠を拒絶し、明け方まで起きていた。
 ぼんやりとした意識の中で、目覚まし時計が午前8時をさすのを見た覚えがある。

 限界まで起きてから布団に倒れ込んだのがたぶん9時頃。
 11時頃目を覚まし、朝食だか昼食だか夕食だかよくわからないものを食べた。

 暑くなってきたためだろう。脳内祭りが今年も始まったらしい。
 毎年6月から9月上旬にかけて延々続く。
 色々なことに開き直れるのだ。

 さて台本の進み具合だが、むしろ「進まない具合」と言い直した方がいいかもしれない。
 最初のシーンを延々書いているのだが、次の場面につなげるぴったりとした言葉が見つからないのだ。
 本当の意味でのキーワードが見つからない。

 だからどうした、と開き直り夕方まで本をぱらぱらめくっていた。
 読書というよりはキーワード探し。
 無意識にやっているので苦痛はない。

 夕方、中野に出る。
 ウエストエンドスタジオにて、イルカ団の「パーティー」という芝居を観た。
 望月が出演しているのだ。

 イルカ団の芝居はどんどん事件色が強いものへと変わっているようだ。
 望月は社長の役。
 前半は軽快。後半やや雑。
 全体としてはクセのない演技をしていたので、まあよしとする。
 偉そうな客だ。

 終演後、女性が近づいてきた。
 誰かと思ったら○×カンパニーの芝居でおなじみの小野はるかさんだった。
 「すごく怖い顔してました…」
 「そう? おれ普段はそうなんだよ。ところで今日は誰か知り合いがいたの?」
 「渡辺さんです」
 渡辺さんとはイルカ団常連の女優である。
 俺は96年と97年にイルカ団の公演に出ているので、むろん彼女のことは知っている。
 「へえ、くうちゃん(渡辺さん)と知り合いなんだ」
 「ええ。だからわたし、塚本さんが出た時観てます。ボクシングのやつ」
 「うぎゃ、あれを観たのか」
 「観ました。塚本さんバスローブ着てました」
 バスローブを着てブランデーグラスを片手にジムをうろうろするボクシングジムの会長役だったのだ。
 「バスローブはくうちゃんからもらったやつなんだ。つい最近までうちの押入にあったよ」
 バスローブってやつはかさばって保管が大変なのだ。
 
 9時から中野のロッテリアでマグネシウムリボン制作会議を健ちゃんと。
 芝居が終わって間もない望月も来た。
 チケット問題やその他色々を話し合う。
 望月は元気で、健ちゃんは疲れていた。

 11時に小金井へ。
 夕飯がまだだったので、ラーメン天国でラーメンを食う。
 まずい。
 お金と時間を返して欲しいと思うくらいまずかった。
 この店は昔ラーメン大学という名前だったのだがその時の方がメニューが豊富だった分ましだった気がする。
 だれかみのもんたを派遣してくれ。