稽古はすでにはじまっているのだ

 稽古はすでに始まっている。ペースは週に3回だ。
 そのペースで稽古をしていると、稽古のない日をどう過ごすかが問題になる。

 最近はなぜか映画関係の本ばかり読んでいる。監督の視点、役者の視点に関わらずだ。
 ストーリーを作り、それを映画という形にするという作業に、創造的な意味でのヒントを探しているのだ。たぶん。
 あるいはこのところ映画をあまり観てなかったから、欲求不満だったのかもしれない。

 昨日の夜は「バートン・フィンク」を観た。
 シナリオが書けずに追いつめられる作家の映画を今観るということに、運命的なものを感じたらやばいだろうか。
 ともあれほれぼれするようなシナリオで、一気に観て、寝た。

 本日夕方より稽古。
 6時から30分ほどマラソン。大分調子が戻ってきた。
 電P、望月、見学に来る。

 先週に続いて台本をつまんではエチュードをするという稽古。
 何しろこちとら、出演者3人の過去の芝居を観たことがないので、稽古場で現場主義的に色々知っていかないといけない。
 そのために手を変え品を変え、色々なことをしてもらう。

 島根さんには好奇心旺盛なキャラを演じてもらい、そこから派生して、自分の知らない話をしている友達からその話を聞き出すというエチュードをする。
 全身が耳になるような感覚になったところで台本に戻り、どういう成果がでたかを確認する。
 本日の成果は、相手の台詞に対する反応が早くなったこと。

 鈴木さんは動きを色々つけてみた。
 彼女はそんなに背が高くないのだが、なぜか大柄に見える。
 そのためというわけじゃないだろうが、ちょっと動いただけで大きく動いたように見える。
 台本の短い部分を使って色々な動きをつけてみた。
 もっと動けるはずだが、あまり深入りせず、可能性だけを示唆して終了。

 柴崎さんはこの一週間、自分がやりたい役やなりたい女優のタイプについて考えてきた。
 そのことについて質問する。
 言葉にすると難しいけど、漠たるイメージはあるらしい。
 未だ見ぬ謎の女性、という感じだ。
 その女性を身近に感じるために、色々な質問をコチラがして、柴崎さんがその質問に答える形をとった。
 そして、3人でエチュードをして、その謎キャラの出方を探り始めたところで稽古時間は終了となった。
 明日、続き。

 夜、実家へ帰る。
 小津安二郎「東京物語」監督用台本、読了。
 映画を観た時よりも感動した。なぜだろう。