夕方、大学時代の芝居仲間である榊原みっちゃんに会った。
今回の芝居のチラシに使う絵を描いてもらうことになり、それについての打ち合わせだ。
小田急ハルク裏の笑笑で飲む。
彼女はかつてエロ本の編集部で働いていた。
その頃の話を事細かに話してくれた。
「まず、モデル事務所に連絡してモデルをおさえるでしょ、それからカメラマンは早いもの勝ちだから、編集部同士で争奪戦」
「モデルって、事務所あるんだね」
「そりゃあるよ。色んなのがいるんだ。撮影当日になっても来なかったり」
「撮影はどんな感じ?」
「朝、どの出版社も使う喫茶店があって、そこでモデルと待ち合わせ。それから撮影オーケーのホテルとか旅館にこもって撮影。しかも、自分が担当している本の締め切りが重なるから、撮影も重なるんだ。うちに帰れないね。で、全部の雑誌の仕事が片付くと、ひと月のうちエアポケットのように仕事がない五日間っていうのが来て、その間はもう、なんもする気しない。会社来てタイムカード押してどっかふらふら遊びに出かけて退社時間に戻ってまたタイムカード押して帰るって感じ。その五日が過ぎるとまた同じようにモデルのスケジュールおさえて…」
他にも、彼女がかつて所属していた劇団養成所の話や、現在通っているプールにいる老コーチの話を聞く。
「週五日泳いでたね。もう、泣きながら」
「なんで?」
「辛くて」
「厳しいの?」
「もう純粋に肉体的に。個人メドレー10本連続とか。しかも、その前に散々泳がされた上でだよ。泳ぎながら目から涙が出る気持ちがわかる?」
その結果、インストラクターのC級資格を取れたそうだ。
「いやあ、スポーツセンターの人にね、『なかなか出来ることじゃないよ』って言われちゃってさ」
そりゃそうだ。
10時近くまで話してから別れ、小金井に帰った。
ザ・フーのアルバムを聴く。
少し前にデビュー間もない頃のザ・フーがテレビで「マイ・ジェネレーション」を演奏する映像を見た。
ピート・タウンゼンドが驚くほど若かった。
というよりも、同世代のミュージシャンと比べて、ピートは老けたのだと思う。
今じゃ、頭は禿げ体もでっぷりして、とてもギターを叩き壊す動きが出来そうにない。
幼児ポルノ閲覧で捕まったのは去年のことだが、その後どうなったのだろう。
クイーンのブライアン・メイが擁護していたのがこれまたよくわからない話だった。