王将で飲み食い

 昼、図書館へ行き、数冊本を借りた。
 『坂の上の雲』は5巻以降がまだ貸し出し中だった。
 ひと息に読みたいところなのに、じれったい。

 夕方下北沢へ。
 大学時代の友人が、4月からブダペストの日本人学校で働くため、その送別会をやった。
 送別会ではあるが、店はである。
 「送別会ったって、別に気取ることねえじゃんか」
 みたいな、ある種の照れを底に含んだ、体育会的な共通の価値観が皆にある。
 異を唱える者が一人もいないところが、頼もしいし、それが落ち着く要因にもなっている。

 少し遅れて店にはいると、5人が来てすでに飲んでいた。
 「榊原が来れないから、ギョーザは8人分にしといた」
 もちろん、ギョーザ8人分の他にも、天津丼やら唐揚げやら中華飯やら炒め物やらを散々食うのだ。
 6年前はもっと食っていた。

 昨年5月にも同じメンバーで集まったのだが、その時も下北のだった。
 店員にとても可愛い女の子がいた。
 その子が、今日もいた。
 「おい、あの子さ、前来た時もいたよな」
 「いたっけ?」
 「いたよ」
 記念に写真を撮ろうかと思ったが、ラピュタのばりに中華料理をむさぼり食う我々がいきなり、
 「あの、写真撮ってもいいですか」
 と申し出るのは、すでにセクハラすら超えた何かであるように思えた。
 友人を撮るフリをして、フレームに彼女が入った時にシャッターを押すという作戦も試したが、良心が邪魔してシャッターは押せなかった。

  2時間ほど経過した状態

 6時に入店して10時過ぎまで王将で飲み食いした。
 会計をしたが、ブダペストに旅立つ飯川君の分を抜きに計算しても、一人3000円に収まったのには驚いた。
 飲み屋じゃないから、一品当たりの量が多いということが幸いしたのだろう。
 次は5月にまた集まろうと約して解散する。

 店を出た時、清水が、
 「コレ、実は自分の財布ちゃうねん」
 と言った。
 嫁さんのだそうだ。
 「実は、金ないんやけど…」
 そう言って出てきたらしい。
 ペーソスあふれるエンディングではあった。

  ウチのサイがな…