サンボマスター聴く

 朝、珍しく食欲がなかった。
 柿ピーをぽりぽり食う。

 昼、吾妻ひでおの漫画を立ち読みする。
 題して『失踪日記』
 原稿を落として、失踪していた時のことを漫画にしている。
 暗い内容なのに明るい感じで描いてある。
 作者なりの前向き思考の現れなのかもしれないが、かえって辛かった。
 生まれて初めて買った漫画は、吾妻ひでおの『ふたりと5人』だ。
 少年チャンピオンで連載していた。
 主人公のとの隣に、かわいい女の子5人組が引っ越してくるギャグ漫画だったと思うが、何しろ小学生になるかならないかの頃だったので、ストーリーなどはほとんど覚えていない。

 そういえば同時期のチャンピオンには鴨川つばめ氏も『マカロニほうれん荘』を連載していた。
 鴨川つばめも連載終了後に燃え尽きたクチだ。
 『マカロニほうれん荘』最終回近くになると、絵がめちゃくちゃ怖い。
 作者が壊れているのがはっきりとわかる。

 夕方、3時間くらいぶっ続けでデータ入力作業をしたら、頭がフラフラになってしまった。
 6時に大塚へ。
 ホープ軒本舗でラーメンを食べた。

 6時半に萬スタジオへ。
 阿佐ヶ谷南南京小僧『風雲!しんでれ羅城』見る。

 王子様と結婚したシンデレラが、新しく築いた家庭で、かつて自分が受けたと同じ仕打ちをする。
 その底に悪意はない。
 彼女にとってとは、そういうものだからだ。
 被虐者が加虐者になり、孤立して殺戮を犯すプロットは、仁侠映画と重なる部分もあり、そうした演出も施されていた。
 ラストで、生き残った息子に何気なく、
 「なにか作ってあげますよ」
 と言われ、シンデレラはというものがどういうものなのか気づく。
 物語としてはそこで静かに終わるのが一番良かったと思う。
 しかしそれでは南京らしさというものが出なかったろう。
 焼け跡歌謡の流れるエンディングは蛇足ではありながら不可欠であり、そこにこそ飯野君の作家性が凝縮されていたと思う。

 夜11時帰宅。
 サンボマスター『新しき日本語ロックの道と光』を聴く。
 ロックの歌詞は銃器に詰め込む弾丸なのだ。
 そのことをあまりにも長いこと忘れていた。
 サンボマスターは黒船だ。
 だが、黒船が黒船であるがゆえに畏怖されるのは、ほんのわずかの間だ。
 それを演れば誰もが満足するという曲を、早く書いて欲しい。
 でないと革命は起きない。
 彼らもただの食べごろ果実で終わってしまう。